あなたに出会えたから2 (ページ26)

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その後は私はスタジオでのリハーサルに向けて

みなさんに挨拶をして楽屋を出た。

緊張で酸素が足りていなかったのか、

楽屋に出た瞬間めいっぱい空気を吸う。

舞台裏にいる浅田さんと合流して

チェック項目の書いてある紙を見ながらセットや照明が

正しく備え付けられているかを確認する。

今回披露する曲は“Addicted”。

曲の始まりからワクワクするような気分にさせてくれる、

私も大好きな1曲だ。

確認を終えて舞台裏に戻ると

衣装に着替えたNissy、バックダンサーが

スタンバイしていた。

私の横を通り過ぎた隆くんはもう集中していて

私にも見向きもしない。

そんな隆くんに私は恋人としてではなく

スタッフとして、尊敬の眼差しを向ける。

さっきまでじゃれ合って笑いあっていた4人が

別人に見える程対照的でかっこいい。

目の前に立つ隆くんはセットが完了するのを

舞台袖で見ている。

近くにいたスタッフさんに気になることを確認する姿も

相変わらずのこだわりよう。

だけど、そんな隆くんの言葉を逃さないように

ちゃんと聞いているスタッフさんの姿に

隆くんのこれまでの積み上げてきたものが見える。

私の目の前まで戻ってきて舞台の様子を見守る姿に

私は何も声をかけられない。

一瞬で遠い存在になってしまう。

西｢ちょっと、これ引っ張ってくんない？｣

不意に声を掛けられて

右耳のイヤモニが衣装に絡まって服の中に

入ってしまっているのを引っ張る。

西｢ありがと、なんか顔硬いよ？

もっと肩の力抜きな、ね？｣

隆くんはそう言ってスタッフさんに呼ばれて

スタンバイした。

スタッフのメンバーに選ばれた当初も

何度も隆くんに言われた言葉。

張り詰めていたものが少しだけ楽になる。

アナウンサーさんの紹介から始まり

音楽が鳴り出せばみんな隆くんの、Nissyの世界観に

吸い込まれていく。

初めて見るアーティストとしてのNissyの姿。

普段会社で打ち合わせをする隆くんでも、

家でふにゃって笑う隆くんでも、

カメラの前でポーズを決める隆くんでもない。

Nissyが目の前にいた。

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