更生・再生【不動明王】Chapter４ (ページ36)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:60,150 hit

１７３ページ36

帰り道

同じ車に乗りたくなかった

あたしの隣には明王がいて、

あんだけ、“好き”だって言ってくれてたのに

それもなかったのような顔していたのが

悔しかった。

少しくらいはさ、気まずいって思わないわけ！？

わかってたんでしょ。

今日がこうなるって。

「ご到着いたしました。不動さま、志筑さま」

運転手さんの声に我に返る。

「は、はい！」

車を降りて、アパートの階段を

ギィ、ギィと音を立てながら上がった

あいつが部屋に戻るとき抑えきれなくて

言ってしまった

「･･･なんでよ」

「ハァ？」

「言ってくれなかったの？」

「何をだ」

わかってるくせに、わかってるくせに。

「今日の事に決まってるでしょ！」

こんな事、自分の口から言いたく･･ないのに･･･！

「あたしに言ったじゃん」

「･･･」

「好きって！」

「あぁ、言ったな」

「言ったなって･･･中国に留学って何よ？跡継ぎって何なの！！？」

明王の顔を見上げると、明王は今までにない

苦しそうな顔をしてて

それでも、責めずにはいられなかった･･･