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跳ね馬 ページ45

「桜月、いってらっしゃい」









満月の晩、小太郎さんが眠った後に桜月の紫色の首輪に先月書いた彼への手紙を括り付けて見送る





チリンチリンという鈴の音が心地よく聞こえて、今夜は十分に睡眠を取れそうだ






返事なんて期待してない





読んでくれるだけでいい





今度は私が貴方を恋わしたい







もう貴方と会わないと、関わらないと心に誓ったのにこんなにも簡単に貴方に関わってしまう






高杉さんのこととなると固く誓ったことですら途端にゆるゆると解けて貴方を求める






高杉さんがいない人生なんてあってないようなもの






私は必ず高杉さんに会いに行きます、例え何度銀さんに止められても、小太郎さんにバレようとも






貴方と一緒にいたい、そんな醜く素直な想いが嵐のように私を襲い、手綱を幾ら引いても暴れ狂う跳ね馬の如く、抑えようのない欲望となる






彼への愛は会わなくなったとはいえ枯渇することを知らないどころか、益々潤沢する一方で






今ならこの生活を失っても良いと思ってしまうのはきっと高杉さんの香りに当てられたから


















――


―――













桃色の桜はとうに散ったというのに、紫の桜は散ることを知らないようです





今宵の月も美しく見惚れてしまいます





月を見ていると風の音も星の瞬きも微かになって耳に入らず、月以外の色すら分からない




それでも胸の奥底が熱く泡立ち、恋草が燃え上がるよう





炎がいつまでも灯っているのに




寒くなってきました




羽織が必要な季節になってきましたね

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作者名:るう | 作成日時:2022年9月20日 18時

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