風 ページ41
今日は満月だ
縁側で桜月を膝の上に乗せて撫でながら夕闇に浮かぶ丸い月を眺める
隣では小太郎さんが月を眺めながらお茶を飲んでいる
月に照らされる小太郎さんも素敵だけど、やっぱり月が1番似合うのは高杉さんしかいない
もう何ヶ月も高杉さんに会ってない…もう会わないと決めたのに月を見れば条件反射で会いたいと願ってしまう
私の想いに反して桜月がむくりと体を起こしてどこかへ出掛けて行く
私の方から高杉さんの元を離れたのに、桜月の後ろ姿は高杉さんが私から離れて行くように見えて少し苦しくなった
桂「桜月はまた外出か」
「今度、後でもつけてみます?」
桂「そうだな、もしかしたら誰かに可愛がってもらってるかもしれんからな」
「その時はお礼でもしましょう」
満月の晩をこんなにもゆったりと過ごすのも幸せだなと思える様になってきたのは喜ばしいことなのだろう
ひゅっと短い風が私たちの肌を撫でる
ぶるっと身震いをすれば、小太郎さんが私の肩を抱き寄せる
抱き寄せる力すら小太郎さんは優しくて暖かい
桂「また肌寒くなってきたな」
「小太郎さんがこうしてくれるので寒くないです」
桂「俺もAがいれば暖かい
もう暫くこうしていても良いか?」
「もちろんです」
小太郎さんの肩に頭を預けて2人で月を眺める
傍から見たらとても仲睦まじい夫婦に見えることだろう
だけど、誰にも他人の腹の中を読むことはできない
だからこそ、心の中で何を思おうと私の自由なんだ
小太郎さんそのまま私を離さないで
でないと私、壊れてしまいそうで怖いの
——高杉さんが好き、会いたい
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作者名:るう | 作成日時:2022年9月20日 18時