忠告 ページ31
- 高杉side -
夜、たまには迎えに行ってやろうと気まぐれを起こした俺は、いつもより随分と早い時間に彼奴の家に来た
流石に今朝のように縁側で待つのはできないために裏手にある勝手口の方に向かうと、銀時の声とあの女の困った様な声が聞こえた
取られる―――—そう思った
そう思った時には頭よりも先に身体がもう既に動いていて、懐かしい姿が俺のモンを抱き締めていた
自分の中にいる黒い獣が銀時を殺せと喚くが、彼奴を殺るには骨が折れるし、何よりもAが痛く悲しい顔をするのは火を見るよりも明らか
彼奴の感情を動かすのは好きだが、そんな感情は見たくもねぇ
そいつは俺のモンだ、離せ――そう正面切って言いたいところだが、そんなことを言える立場にねぇことくらい分かっている
ちらりと銀時の背後にいるAを見れば目が合い、震える瞳が妙に色っぽくて自分で牽制をしたにも関わらず
銀時からもズラからもAを奪って、ここから連れ去り、きつく抱いて、汚してやりたい
止めどなく溢れる愛が俺の理性を壊そうとしてならない
なんの変哲もない普通の女が俺には新鮮で、桜が似合う、ただそれだけ
それだけだが、それが俺をここまで支配する
女1人の為に無駄な危険を冒すほど俺は馬鹿になっちまったらしい
高「おい銀時、此奴には手ェ出すなよ」
銀「それをお前に言われるたァお笑いモンだな」
高「そいつは俺のモンだ
忠告はしたぜ、じゃあな」
つい俺のものだと言ってしまったが、Aがぼっと火が出そうなくらいに顔を赤くしていたのを確認できただけでも言った価値はあったか
銀時が待てと言っているが待つ理由もなく、満月に向かって歩き出す
俺が縛っているつもりがいつの間にか縛られてんのは俺の方だなんて情けねぇ話だ
気を落ち着けるために煙管を1つ吹かす
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作者名:るう | 作成日時:2022年9月20日 18時