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高「お前に会いに来たわけじゃねぇ、勘違いすんな」










高杉さんにとっては何も意味を持たない言葉が私には無数の意味を持ち、剣となって傷つけられる







それでもいい…あなたの声で恋わされる快楽を覚えてしまったから










「じゃあ何しに来たんですか?」





高「これを置きに、な」





「え、これって」









高杉さんが懐から取り出したのは丸いコットンパールとピンクの玉に金色の蝶が優雅に留まる簪(かんざし)





都合よく解釈してもいいならこれは私への贈り物で





もっと都合よく解釈して良いなら、確か、男性から女性へ簪を贈る意味は――














「あの…私 馬鹿なのでそのままの意味で受け取りますよ?」





高「お前ェの好きにすればいい」













――貴方を守る








多くを語らない高杉さんの真意は分からないけど、とにかくこれは素直に受け取っても良いようだ







簪を高杉さんから受け取れば、ニヤニヤとする表情筋を抑えることができていないのは自然の摂理で仕方のない事






これは後生大事にしなくては…でも













「何でこれを私に?」





高「街で見かけたもんでな


  それ、毎日付けとけ」





「小太郎さんに気づかれます、流石に」





高「俺の言うことが聞けねぇってなら別に良いがな」





「そういう訳じゃ…」





高「じゃあ付けろ」












この人は本当に狡い




私が高杉さんに逆らうなんてできないことを知っている





私が高杉さんにもっと縛ってほしいと思っていることを知っている










「…ッどうですか?」





高「ああ、悪くねぇ」









簪を付けて高杉さんに見せれば、ふいっとそっぽを向いて、似合っていると言ってほしかったのにそれを裏切る言葉を言い放つ





だけど私は知っている。それが照れ隠しということを。









――縛ってもっと見つめてて、その愛で

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作者名:るう | 作成日時:2022年9月20日 18時

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