紅い花 ページ34
何とか夕飯を作り、今度は夕飯を銀さんと囲む
私はさっきのことで頭がいっぱいで動揺してご飯が進まないのに、その主犯はいつもと変わらぬ顔色で夕飯を食べたり、お酒を飲んだりしてる
その変わらない態度が私の癪に障るのと同時に漠然とした不安を生む
「…何で銀さんは普通なんですか」
銀「急にどうした」
「私ばっかりドキドキしてバカみたいです」
付き合ってもないのに、付き合いたての彼女みたいな発言をしてることに気づいて更に寒気が追加される
この発言で今までの安寧な関係を壊すことになるかもしれない
感じたことのない緊張感でビリビリと身体が痛くて、銀さんの顔を見ることもままならない
向かいではぁってこれまで何度か聞いたことのある銀さんの溜め息が漏れる音がした
呆れられたかな、嫌われたかな
こういう時は先程の強気な発言をした私は影を潜めて、何とも弱気な自分しか現れない
銀「お前はほんとにバカだよ」
銀さんの発言に反射的に顔を上げると、窓からは大きな月が銀さんに光を射す
その鋭い光は私に突き刺さって、息を吞むことで精一杯
銀「自分だけドキドキしてるだぁ?ふざけんな
お前の仕草、行動、言葉、その1つひとつに
どんだけ苦しんで、どんだけ必死に隠してきたと思ってんだ」
腑抜けた顔の銀さんではなく、男の顔をした銀さんが私の正面にいて、この後に何が起こるか予感してか大きく胸が鳴る音がする
正面にいた銀さんは重い腰を上げ、隣に移動してきて再び腰を下ろせば、銀さんは私の着物を肩が見えるくらいまでずらして、ある1点を指さす
「ちょっ…やめてください!」
銀「A、これ気づいてねぇだろ」
「何のことですか!」
銀「だから、これ」
何か意味不明なことを言われ、何があるかを確認するために、化粧台にある手鏡を取って確認すると
そこにはいつからそこにいたのか記憶にない、小さく、でも確かに存在感のある赤というには些か鈍い紅い花が咲いていた
銀「俺のってことでいい?」
眩しいくらいに鋭い銀色から逃れる術を私は知らない――
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霊花 - ページ12 神楽と新八絶対様子見たじゃん (5月22日 0時) (レス) @page12 id: 8e6903f587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2022年8月17日 16時