朝日 ページ31
瞼の裏を痛いくらいに刺激する朝日で目を覚ますといつの間にか布団の中にいた
昨日の記憶の中にいる私は確かに床に座っていたはずだ
布団にいるってことはまた銀さんが運んでくれたんだ、と考えるのはごく自然なことで申し訳なさと嬉しさで充満する
少し大きな欠伸をして朝の新鮮な空気を少しズキズキと痛む脳内に送り込む
辺りを見渡せば銀さんと飲んだときのままで、昨夜のことをぼんやりと思い出す
片付けなきゃ、と思い起き上がろうとすると、私の隣で布団がもぞもぞ動く
ひゅっと器官が鳴らし、恐る恐る布団をめくってみると、そこにいたのは銀色のもじゃもじゃ
紛れもなく銀色のもじゃもじゃが心地よさそうに、でも朝日を浴びて不快そうに眉間に皺を寄せて眠っている
一時的に思考も時間も止まって、このまま固まっていても状況把握だできそうにもない
だったらやれることは1つだけ
「ぎ、銀さん!起きてください!」
銀「…ンだよ、朝っぱらから…うるせぇ」
「て、また寝ないでください!」
銀「分かったからでけぇ声出すな馬鹿野郎」
銀さんは眠そうに目を擦りながらむくりと身体を起こし、寝起きで意識も身体も起きてないという顔で窓の外をぼけっと見る
そんなぼさついた横顔をぼけっと見る私は無意識に銀さんの唇に視線が移れば、ぼっと昨日の酔いが戻ってきたように体が熱い
そうだ、昨日、銀さんと…
酒の力は恐ろしい
「朝ごはん食べてきます?」
銀「ああ、頼むわ」
それでも何もなかった様に振る舞う大人の世界はもっと恐ろしい
朝ごはんの準備をするために立ち上がろうとした時
銀「その前に…」
銀さんのその一言共に朝日で伸びた2つの影が1つに重なり、入り混じる太陽と酒の香り
影が離れれば、銀さんは赤い目をぎらりとさせ「おはよ」と口の端を上げて妖しく笑う
銀さんにされたことを理解すると、顔も頭も体も沸騰したように熱くなる
銀さんは何もなかった様に振る舞うなんて到底させるつもりはないようだ
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霊花 - ページ12 神楽と新八絶対様子見たじゃん (5月22日 0時) (レス) @page12 id: 8e6903f587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2022年8月17日 16時