銀の幻【坂田銀時】 (ページ26)

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幻想ページ26

銀さんと一緒に団子屋へと歩いていく

銀さんとこうやって並んで歩くのはまだ慣れなくて、身体の節々に力が入って痛い

でもドギマギしてるのは私だけじゃない

銀さんはいつもの生気を感じない顔をしてるけど、どこかソワソワとしている感じがした

「辰馬さん面白い人ですね」

銀「前にも言ったろ、ただのバカだって

　変な勘違いしやがって」

勘違いとはきっと、銀さんの好きな子が私、という辰馬さんの発言のことで

あの時は反論するのに必死とうか恥ずかしくて気に留めてなかったけど、改めて冷静になった本人の口から否定されると、チクリと胸が痛む

今までの銀さんの言動で、もしかしたら、なんてありもしない幻想を抱いて、随分と私は自惚れていたようだ

誰かに脳天をカーンと叩かれ抜け殻のように放心状態になりながら、銀さんの隣を歩く

ここで何かにつけて銀さんの元を離れて頭を冷やすのがセオリーだろう

だけどそんなことを考える程、今の私に余裕はない

銀「おいどうした、ぼーっとして

　また何か思い出そうとしてたのか？」

「そんなんじゃないですよ」

心配して立ち止まり、こんなバカみたいなことしか考えてない私に対して優しい声をかけてくれる銀さんに、未だに自惚れが残りバクリと跳ねる情けない心臓

自分が嫌で嫌で仕方ない

こんな思いをするのは銀さんの言動に期待するから

銀さんにそんな気持ちない、気まぐれか何かに決まってるんだ

そうだ、期待なんかもうしない

銀さんが好きな気持ちは私の中で永遠に眠っていればいいんだ

団子屋までもう目と鼻の先

あそこに着いたらただの客と店員でそれ以上でも以下でもないことを今までよりも肝に銘じよう

でも私の固い決意を一瞬にして、いとも簡単に打ち砕くのがこの銀色をした男

銀「なーに考えてんのか知らねぇし知りたくもねぇけど」

「え？」

銀「Aのこと心配してる奴がここにいることくらい知っておけ」

「はい…」

複雑に絡み合う糸をスルリスルリと潜り抜けて核心にたどり着く、と言った方が正しいのかもしれない

銀色の光は私には眩しすぎるはずなのに

離れようとしても離れるなんてできない

質の悪い銀色――