眼福 ページ21
「さっき言ってたお団子持ってきてくれた方って
もしかして陽気で随分と訛のある方ですか?」
銀「陽気ってより彼奴はただのバカだ」
「じゃあ金時って銀さんのことだったんですね」
銀「彼奴バカだから人の名前覚えらんねぇんだよ、バカだから」
今日は親父さんが店を閉める準備を買って出てくれたお陰で、銀さんとこうしてお喋りができている
どうしても焦げ茶色のもじゃもじゃさんが言ってた金時が気になって思い切って聞くとやっぱり銀さんだった
銀さんと同じくらいの歳に見えたから、あの時話してくれたどうしようもない腐れ縁の1人なのかな?
1つの話に区切りがつくと、親父さんがくれたこの機会を無駄にしないようにと、止めどなく話題を振っていく
でももう話すことは以前のあのことしかない
聞こうか聞かないままにするか迷うより先に銀さんとお喋りしたい欲求が勝って口が先に動く
「あ、この間は、その、寝ちゃってすみませんでした」
銀「いいよ別に。気にすることはねぇさ」
「部屋まで運んでくれたのも銀さんですか?」
銀「置き手紙あったろ」
「お手数おかけしました」
やっぱり銀さんだったし
大人ひとりを運ばせた私に文句の1つも言わない銀さんの懐の深さはまだまだ計り知れない
それも銀さんの魅力の1つでみんなから慕われる所以だと思う
「付けはチャラにできないので、今度パフェ奢らせてください」
銀「マジでか?!お前それ撤回なしだかんな!」
パフェという単語に反応して、胸の前でガッツポーズを決め少年のように瞳をきらきら輝かせるくらい過剰に喜んでくれた
今日は2回も幼い銀さんを見れて眼福でしかない
パフェは団子より高額で、それを誰かの奢りで食べられるなんて、万年金欠の銀さんにとってはどれだけ嬉しいかは想像に難くない
実は奢るのは口実で、銀さんとお出かけをしたかったなんて口が裂けても言えない私だけの秘密
「じゃあ銀さんまたお待ちしてます」
銀「おう…って何かこうやってお前に見送られるの新鮮だな」
「親父さんの方が良かったですか?」
銀「いんや、できるならお前にいつも見送ってほしかったよ」
じゃあなと気怠そうな背を向け、手をひらひらさせて帰っていく
ほらまたあの銀色は私を夢中にさせる――
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霊花 - ページ12 神楽と新八絶対様子見たじゃん (5月22日 0時) (レス) @page12 id: 8e6903f587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2022年8月17日 16時