赤い花火 ページ13
どおん、どおん、と腹の奥底を抉る様なけたたましい轟音
それには似合わない煌びやかで華やかな大輪が夜空を飾る
大輪が花開く灯りで観客たちを明るく照らす
もちろん例外に漏れることなく大きな木にもたれ掛かりながら夜空を見上げる私たちも照らされている
私はと言うと、花火を見たり、花火に見惚れている銀さんにこっそり見惚れたりと忙しい
夜空が飾られるたびに"デート"という言葉で頭にも心にも鳴り響いて世界が華やかさが増していく
幸福で満ちてるはずなのに、銀さんの横顔を見てると
一緒に花火を見たのは初めてな気がしないんだ
映像にある甚平姿の彼とすぐ隣にいる浴衣姿の銀さんが重なっていく
頭のもじゃもじゃも
死んだ魚のような目も
私を魅了する銀色も
鈍い影の光さえも――
銀さんの全部が私の奥底に眠る何かを揺さぶってくる
さっきは何かを知りたくなくて逃げちゃったけど
今度は知りたくて仕方ない
夢では触れられない銀色
今はすぐそこにいるから触れられる気がして
すっと手を銀さんの頬へ伸ばしてみれば
ほら、やっぱりね?
今度は届いた…銀色に
銀「ッ!」
「え?」
銀「そりゃ俺の台詞だ」
2人を照らす様にパッと咲いた赤い大きな花火
銀さんの瞳の色と同じ赤色に息を吞む
それと共に銀さんが私の手を取って、グッと2人の距離が近くなる
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霊花 - ページ12 神楽と新八絶対様子見たじゃん (5月22日 0時) (レス) @page12 id: 8e6903f587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2022年8月17日 16時