そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ40)

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思い出ページ40

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もう日は沈み辺りはすっかり暗くなって、
月明りだけが私たちを照らす——

最後の時間はどんどん迫ってくる。
名残惜しいと言わんばかりに繋いだ手を何回も強く繋ぎ直す長尾くんの横顔を暗がりの中じっと私は見つめていた。

でもこの時、彼に対してなんとも言えない感情がわいていることに気付いてしまった私は目が合ってしまう前に慌てて視線をそらした——

長尾「そろそろ帰らないとやね」

「……」

長尾「…？どうしたん…？」

「……お腹、すいた」

長尾「へ？」

「お腹空いた。ご飯食べたい」

私の発言があまりに突然だったからか大笑いした長尾くんは
あんなに触れないようにしてたくせに繋いでいた手を引き寄せてあっさり私を腕の中に閉じ込めた

長尾「ほんまにもう、先輩にはかなわへんなぁ」

「ねえ、良いって言ってないよ」

長尾「いい？」

「‥‥後出しすぎる…」

長尾「やってさ、先輩が急に気抜ける事言うんやもん笑」

違う、本当はお腹なんて空いてなかった
何でか、私まで名残惜しくなってしまって時間を引き伸ばす方法を考えてしまっていた…

結局そのまま手を引かれて車まで戻り、
近くのご飯屋さんに着いたのは19時過ぎ

当たり前に向かい合わせに座ったけど
何故か少し緊張している自分がいる

何でこんな動揺してるんだろ…
訳の分からない感情を誤魔化す為に普段飲まないお酒を頼んで、一気に半分まで飲んでしまうほどにはおかしくなっていた

長尾「へ？！先輩お酒弱かったんやない？！」

「ちょっとなら大丈夫〜私だけ飲んでごめんね？」

長尾「別にそれはええけど、、、」

少し心配そうに見ている長尾くんをよそに
残りの半分もあっという間に飲み干したけど、少し経つと顔も熱くて、頭がふわふわしてくる——

でもそこから気持ちが楽になっていく感覚があって
目の前に座ってる長尾くんをようやく直視できるようになった

「･･････長尾くんってさ、ほんとかわいい顔してるよねぇ」

長尾「へ？急にどうしたん。てか先輩、顔赤いて、ほんま大丈夫？」

「大丈夫〜〜」

長尾「大丈夫やないって絶対。弱いのに何でそんな一気に飲んだん、、、」

「･･････えへ、なんでかな〜」

長尾「･･････」

そのままゆっくり視線が交わって、長尾くんの手が私の頬に触れる

「冷たくて、きもちいー･･･」

長尾くんの手に自分の手を重ねて——
心地よくて少し瞼を閉じた。

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