そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ26)

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翌朝——

不思議とアラームより早く目が覚める
いつもと違う景色。

「(ああ、そうだ私——)」

一晩明けた今、夢であってくれと思ってしまう自分もいる。でも私の視線の先には、これは夢ではないと示すものがいくつも映り込む

「(寝顔、かわいいな…)」

こんな最低な朝を迎えてしまったのに、そんな事を思ってしまう私はやっぱりおかしいのだろう——

「忘れてしまいたい」———

　

———「俺が忘れさせてあげる」

お互いの利害が一致した、決して綺麗でない関係

長尾「そんな見られたら照れるんやけど？」

「あっ･･･」

長尾「おはよ。寝れた？」

「うん、結構ぐっすり。」

長尾「運動の後は良く眠れるって言うもんなぁ」

「ねぇ、やめて、」

長尾「だって、ホンマのことやん？笑」

からかい上手ではあるけど、何一つ嘘なんてないからこそ何も言えないのが悔しかった…

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「そろそろ行こうかな」

ベッドから起き上がって、自分の抜け殻を拾い集める
ある程度身に付けて、少し離れたとこに脱ぎ捨てられた借りたスウェットに手を伸ばす———

「･･･？！」

長尾「まだ」

「え？早めに行って待ってなきゃ」

長尾「もうちょっとだけ」

スウェットに伸ばしたはずの手は届かなくて
そのままベッドに引き戻された

長尾「一緒に行こうかな」

「え？どこに？」

長尾「先輩の家。」

「どうして？」

長尾「１人で帰ったら色々思い出さへん？」

「ん？色々って何？」

きっと私はキョトンとした顔をしてたんだろう
その表情を見て長尾くんは少し驚いていた

長尾「今、何考えとるん？」

「今？うーん･･･長尾くんって結構甘えん坊なのかなぁ、とか？」

長尾「なんやそれ笑」

「じゃあ甘えん坊じゃないって言うならこの腕どかしてくれる？」

長尾「いやや」

結局そのまま腕の中に閉じこめられて
遅刻ギリギリになるまで離してくれなかった

でもこの時の私は、長尾くんは私をちょっと困らせて楽しんでるんだろうなくらいにしか思ってなくて
別にそれは嫌な感じがするものでもないから私も素直に受け入れていたし、

素直に受け入れられたのは、これは今日だけ、一度きりの出来事。そう思う自分が居たからだった。

まさか、これが始まりに過ぎなかったなんて
この時の私は想像してなかった——

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