そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ21)

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？『あれ？A先輩･･･？』

「え？」

？『やっぱりそうや、こんなとこでどうしたんですか？』

ゆるっとしたスウェットを着て、
首にはヘッドホンなんか付けちゃって
今時の子って感じで現れた
出来ればあまり顔を合わせたくない彼は
にこにこしながら躊躇なく隣に座ってきた

「長尾くん…どうしてここに…」

『え？俺近所なんで、家あそこです』

「うわ、まじか」

『めっちゃ嫌そうな顔〜笑あれから先輩、俺のこと避けてるから地味に寂しかったんですけどね〜』

そうやってヘラヘラ笑ってる貴方こそ、
普通ではないだろとつっこみたくなったけど
受け入れたのは私で、
そんな私も彼と何ら変わらないんだろうな

「避けてた、つもりは無かったんだけど…そう感じさせてたのならごめん」

『･･･じゃあ、今度は先輩からキスしてくれたら許してもええよ』

「はっ？」

『はいっ、ここに』

唇をとんとんってしてキス待ち顔。
私が固まってるのも想定内なのか、時折うっすら目を開けて、「ほら、ここ〜っ」ってエンドレス

「する訳ないでしょ？」

『そう？結構半々くらいでしてくれそうやなって思ったけど』

「はぁ…その自信は何処からくるの…」

『え？だって、あの日ええ顔してたから。会議室やなかったら、あのまま襲ってたかもなぁ』

「？！？ちょ、何言って…！」

私の反応を見て楽しそうに笑う長尾くんに
段々と腹が立ってきていた

「あのねー、人をおちょくるのもいい加減に…っ！！」

よくアニメとかで不意にキスされるシーンってあるけど。それを見るたびに、いやいや避けられるだろ、普通気付くだろって何度も思っていた——

でも今私は、またもやいとも簡単に唇を奪われて、身動きが取れなくなってるんだから、おかしい話だ。

「…！！ちょっと！」

『…泣いてたん？』

「えっ」

『涙の跡、残ってる』

「違っ、泣いてなんか…」

やっと押し返せたと思ったら
ゆっくり頬に触れられて、少しドキッとしてしまった自分にも苛立った——

『泣きたい時は泣くのが一番やで』

「泣きたくない…弱い自分なんか…」

『弱くてもええやん。守りがいがあって。俺やったら嬉しいけど』

「…急に真面目なこと言うのやめてよ」

『俺はいつも真面目なんやけどなぁ〜笑』

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気付けばあっという間に日は沈んで、
わずかな街灯の光だけが私たちを照らしていた—

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