そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ17)

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道枝「好きです」

道枝くんからの告白は…正直嬉しかった。
何だろう、今までにはない感覚。
誰かに想われているんだと実感できる、はっきりとした好意に不意にドキっとした。
でも、あくまで道枝くんは可愛い後輩。

「ありがとう。嬉しいよ」

冷静に、冷静に、
少し胸が躍ったことは隠した。

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道枝くんも何かを求める訳でなく
その後も普通に仕事をして、いつも通り。
私の返事を聞くこともしない。
ただ、一緒に仕事をこなしていく毎日だった

「あー･･･ごめん道枝くん、私今日残業だからさっきの資料の続きまた明日でもいいかな…？」

道枝「俺も残ります」

「えっ？大丈夫大丈夫！これは私やらなきゃなやつだから」

道枝「じゃあ…進めててください！！」

「えっ？道枝くん？ちょ、え？」

そのまま走って何処かへ行ってしまった彼を
姿が見えなくなるまで眺めてから
言われた通り、仕事を進めていく

和也今日残業?

Aうん、そう。今日中に終わらせたいから遅くなる

和也そうなんや、帰り迎え行こか?

Aタクシーで帰るから大丈夫だよ!ありがとう

なんてことない和也とのやり取り——
きっといつも通り、いつも通り、

———「今だけ、大橋先輩のこと忘れて」

最近、和也と会うと長尾くんがチラつく
悪いことをしてしまったという罪悪感なのか、
はたまた—･･･

道枝「A先輩っ…！！」

「へっ？！道、枝くん…？」

道枝「これっ！夜食買ってきたんで、一緒に食べましょ」

走ってきたのか息を切らしながら
満面の笑みでコンビニの袋を差し出す道枝くん

「道枝くん、前髪全開っっ笑」

道枝「うわっ、、」

恥ずかしそうに前髪を直して、
誤魔化すみたいに隣に座ってデスクの資料に目を向けた道枝くんの頬は走ったからなのか、恥ずかしいからなのか赤く染まっていた

「道枝くんありがとう」

道枝「いえ、こちらこそ。」

「こちらこそ…？」

道枝「隣に、居れて嬉しい、んで…」

あーなんてピュアなんだろう——
彼氏が居るのに、職場で後輩とキスしてしまうような私は道枝くんに好きと言ってもらえるような人間じゃない—

「･･･私、最低な人間なんだよ」

道枝「そんなこと、ないですけど…もしそうなんやったら…一緒です」

「えっ･･･？」

道枝「俺も、最低な人間ですよ」

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