そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ9)

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長尾「あ、A先輩〜！今からお昼ですか？良かったら一緒に食べません？」

「ん･･･？(･･･A先輩？)」

長尾「あっ、大橋先輩がAっていつも呼ぶんでつられちゃいました〜笑」

「あ〜そういうことか笑」

長尾「で、どうです？食べません？」

語尾に"てへっ"と付いてそうな感じのトーンと、ニコニコの笑顔。NOとは言わせないぞと言わんばかりの人を取り込んでいくようなその雰囲気はどこか和也と似ている

「よし、食べいこっか」

長尾「やった〜！あ、大橋先輩には内緒にしとくんで！」

「ん…？何で？笑」

長尾「え？だって付き合ってるんやないんですか？」

「え･･･？」

別に隠してるつもりはないけど、あえて話すことはなくて、和也もわざわざ言うとは思えない･･･
でも仲良さそうだし、話したのかな…それとも…
頭の中で色々巡らせていると私の返事を待たずに長尾くんは口を開いた

長尾「A先輩って分かりやすいですね笑」

「あー･･･？笑」

長尾「取り敢えず行きましょ？」

そう言ってお財布だけを手に持った長尾くんは私の前をスッと歩いて行った

長尾「そういえば、みっちーどうですか？」

「道枝くん、頑張ってるよ〜」

長尾「みっちーって努力家なんですよねー。地道にコツコツ。でも、それだけやなくて。多分天才。」

「えっ？」

長尾「生まれ持ったもんがあるというか、俺はそういうの無いから、ほんまに努力せぇへんとダメやけど、みっちーは違う」

「つまり…？」

長尾「んー･･･なんやろ、、羨ましいって言ったらあれやけど、みっちーになりたいって思ったり、、？って何かこの話、女々しいっすね。笑」

驚いた。
お互いがお互いに無い部分を良いなと思っていて、羨ましいと感じていて、だからこそ踏み込めない部分があるんだ。

「本人に言わないの？」

長尾「みっちー、多分俺のこと苦手やと思うし」

「そう？私は今の話聞いてたら2人は本当は凄く仲良くなれる子達なんだろうなと思ったけど」

長尾「そう、ですかね？」

「うん！今度新歓あるからさ、その時ゆっくり話してみたら？」

あんだけいつも元気な長尾くんが少しだけ俯きがちになっていると励ましたくなる。「ねっ？」と顔を覗き込むと、すぐにパッといつもの笑顔に戻った

長尾「･･･ええな、みっちー。」

「ん？」

長尾「いや、なんもないです。」

この時の長尾くんの言葉の意味は
私が思っていたものとは少し違った——

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