そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ47)

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「･･････っ！」

新幹線の乗車ホーム。
これから新幹線に乗り込む人達が行き交う中、力強く引き寄せられた身体はそのまま愛しい人に包み込まれる

もういい大人なんだから、こんな公共の場で恥ずかしいと思いながらも、はっきり気持ちに気付いた後に彼の香りに包まれたらそんな事も考えられなくなった

長尾「……そんなん、言われたら期待するやん、、このまま連れ去るで？」

「うん、」

長尾「へ、」

「･･･本当は行かないでって、言おうと思ってた、待って、って。でも…私、ずっと長尾くんのこと置いてけぼりにしてたから…今度は私が追いかける番」

長尾「…それ、ホンマに、言っとる…？」

「うん…いい、かな？」

長尾「･･････っ」

長尾くんの涙を見たのはあの日以来だった。
でもあの時と違うのは、今度は悲しい涙じゃないってこと。くしゃっと笑って、恥ずかしかったのかちょっと照れてて、照れ隠しに私の肩に顔を埋めた

長尾「もう一生離さへんで…？」

「うん」

長尾「後悔せん…？」

「離れた方が後悔する…」

私の言葉にパッと顔を上げた長尾くんはまたくしゃっと笑って、そのまままた抱きしめてくれた

長尾「Aっ」

「ん…？」

長尾「好きやで」

「私も。好きだよ」

お互い恥ずかしげも無く気持ちを伝え合うと、そのままゆっくり長尾くんの顔が近づいて来たので、さすがにそれは…！と思って両手でホールドするとちょっと不貞腐れた顔

でも、そんなやりとりでさえ愛おしい—
不貞腐れたほっぺをつつくと直ぐにニコッと笑った彼を見てたら、この笑顔をずっと守っていきたいとさえ思った

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数時間後、無事に大阪に着いた私達は
ひとまず近くのホテルにチェックインした。

「ちょっ、待って待って待って」

長尾「いやや、待たへん」

「〜〜〜〜っ」

長尾「いやなん…？」

「嫌じゃないけどっ…」

さっきとは逆で今度は私ががっつりホールドされて恥ずかしさで揺らぐ視線に満足そうに笑うその姿は最初の頃の小悪魔な彼そのもの——

長尾「やっと、手届いたわ」

ゆっくり絡む指先、見つめられる視線、その全てに敏感に反応する

もうお互いに探る必要も試す必要もない——

私たちを阻むものも何もないんだから——

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