そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ13)

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痕ページ13

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歓迎会の翌朝——
私は和也の家で目覚め、ぼーっと昨晩のことを思い出していた

道枝「先輩、帰りどっちですか…？」

会がお開きになり、お店を出てそれぞれが帰路につこうとするとき道枝くんがそっと呟いた

「あ、私あっち」

道枝「もう遅いんで送ります」

「えっ、大丈夫…『Aは俺連れて帰るから大丈夫やで〜』

私の返事を遮って間に入ってきた和也は、ニコニコ笑っていたけど、声は笑ってなくてちょっと怖かった

道枝「あ、そう、ですか…」

「道枝くん、心配してくれてありがとね。また来週ね？」

その言葉を最後にそのまま引き離されるみたいに連れて行かれた私は複雑な気持ちになっていた——

『ホンマに油断ならんなぁ〜』

「考えすぎだって…」

『まあ俺も過剰に反応しすぎだったかもやけど…俺が居らんかったら送られてたやろ？』

「大丈夫だよって言うつもりだったよ」

『大丈夫なわけないやん…』

「和也ってそういうタイプだったっけ…」

ちょっと意外だった。
こんなに過剰に反応されることも、心配されることも今まで無かったのに…

『悪い虫が付かんようにせんとな…』

「えっ…？」

『家に帰ってからのお楽しみ。』

その後のことは——･･･恥ずかしくて口には出来ない
あんな和也は今まで見た事なくて、嬉しさと、怖さと、でも愛しい気持ちもあって、ああやっぱりこの人から離れられないんだと気付かされる

ベッドから起き上がって洗面台の鏡に映る自分と視線を合わせる。
『悪い虫がつかないように』という彼からのメッセージを表すかのように至る所に散りばめられた沢山の赤い痕(しるし)

「これ、シャツで隠れるのかな、、暫く髪結べないな、、、」

ひとりごとを呟きながら、鏡の中の自分から視線を逸らした

『Aおはよ～～』

「おはよ、ねえ、これどうするの？」

『えっ？あ～ごめんって。つい･･･』

首元に視線を落とすと痕に一つ一つ触れて
申し訳無さそうに、でもちょっとだけ嬉しそうに笑った

『A』

彼に名前を呼ばれると全部どうでも良くなる。
こうなったのはいつからだろう＿＿

付き合いたては普通の恋人同士だったはずなのに、
いつしか私たちは共依存のような関係になっていて、
お互いにそこから抜け出せない＿＿＿

でも･･･私はそのきっかけを
無意識にずっと探していたのかもしれない。

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