虹の色、君の色。～Toshiya.M～ (ページ32)

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好きな人かぁ……。

でも、私には好きな人がいない。

私は根っからの腐女子だし、男の人をそういった対象で見れなくなっている。

何故かいつも、妄想の対象として見てしまって……。

「藍川さん、好きな人いないの？」

「うん…」

「宮田くんは？」

「宮田くんは、とても優しい人で、笑顔が素敵な人だよね。だけど、そんな風には考えたことないな」

…だって、宮田くんは玉森くんのものだもん。

「そうなんだ。私、てっきり藍川さんも宮田くんのことが好きなんだと思ってた」

藍川さんも？？

……「も」って言うことは、宮田くん「も」？？

宮田くんが私を好き……？

そんなまさかね。

「確かにいい人だとは思うんだけどね……」

「そっか。でも、キスシーンは藍川さんが演じたいように演じればいいと思うよ」

「私が演じたいように？」

「うん。…そうだ！藍川さんの理想のキスってどんな感じ？」

「理想のキスか…。王子様が私のことをじっと見つめてくれて、私と目が合うと優しく微笑んでくれるの。それで、私の顔を暖かい手が包み込んで……」

そこまで話して、思わず我に返る。

「ご、ごめんなさい！変な妄想に浸っちゃって…」