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家に着くとまず、少女の体をお湯で濡らしたタオルで拭き、足の傷を診る。
「……これはひどい」
そこには包丁か何かで刺されたかのような傷があった。
「縫わないといけませんが…生憎、今は縫えるものを持っていませんね…」
とりあえず傷口を消毒して、包帯を巻く。
他にも軽い診察をしていこうかとも思ったが、今は低体温症が一番の問題だと思ったので、少女に布団をかぶせて私は料理を作ることにした。
先程抱えた時に気が付いたのだが、この少女はかなり痩せているようだ。
「栄養失調…あまりものを食べられる環境になかったのかもしれないですし、軽いものにしておきますか」
あれだけ血を流していたということは貧血にもなっているだろうから、本当は輸血がしたいところではあるが今は深夜。流石に病院には行く気が起きない。
「明日は確かオフでしたね…朝一で病院に行って色々持ってきましょう」
そんなことを言っている間に料理はできたようだ。
「私も明日に備えて寝ましょうかね」
そして私はそのままベッドで眠りについた。
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目が覚めると、よく分からないところにいた。
綺麗に整理された家…だろうか、というかここはどこだ??
「あぁ、目が覚めたかい、私は神宮寺寂雷というんだ。君、あんな時間に外を出歩いていた理由を聞いても?」
『神宮寺…寂雷…私、は…Aって言います、あの、親…から逃げ…てきてっ…』
寂雷という人は親から逃げてきたというワードに何かを感じたようで「そうかい」とただ一言言った。
「朝食を作ったからおいで、歩けるかい?」
そう言うと寂雷という人は私の手を取って立たせようとした。しかしアドレナリンというかがドバドバ出ていた昨日とは違い、綺麗な家に綺麗に巻かれた包帯なんかを見ると、痛みは昨日に比べて和らいでいるはずなのにも関わらずとても歩ける気がしない。
その上立とうとしても貧血で倒れてしまう。
「っと、大丈夫ですか?」
ギリギリの所で寂雷という人が支えてくれたは良いが、歩けなかったら意味が無い。
『だぃ、じょぶ、です、あの』
全然大丈夫ですと伝えたいところではあるが、立ててすらいない人に言われても説得力に欠けるというものだろう。
「とりあえずソファーに座ろうか、足の怪我も縫わないけならないとならないですし…」
『だい、じょぶ、です』
「説得力に欠けますよ」
ぐうの音も出ない。自分も思っていた事だからだ。
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ゆっぴ(プロフ) - ありがとうございます!こんな作品を見つけて下さって褒めて下さって…感激です!亀以外更新ではありますが…これからも頑張りますね! (2020年11月27日 22時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっっっても!!!面白かったです!!!亀更新でも大丈夫です!続き楽しみにしています! (2020年11月27日 21時) (レス) id: 652322b724 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ(プロフ) - わざわざありがとうございます!とても嬉しいです!! (2020年11月9日 16時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
ひょぉ!(プロフ) - ゆっぴさん!コメントやリクエストありがとうございました\(//∇//)\お話読ませていただきました!とても面白かったです(^○^) (2020年11月9日 7時) (レス) id: 0b08c3a725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっぴ | 作成日時:2020年5月11日 20時