いちろー ページ16
一郎side
『んっ…きつい……』
「さすがにそろそろ来たか」
Aが風邪をひいた時には鉄則がある。
フィーバータイムに入るまであまり構うべからず。だ。
フィーバータイムって俺が呼んでるだけなんだけどな。この時だけはAが素直になるし、甘えたがりになる。記憶は飛んでいるらしいが。
「熱は…下がってねぇか、ほら、暖かくしてないと治んねーぞ」
すぐに布団から出ようとするAを無理矢理布団に戻す。
『んっー!一郎ぅ…』
「ん?なんだ?」
『ぎゅ…』
んっっっっ、かわいいっっっ。
体を起こしてぎゅっとしがみついてくるAが可愛すぎて死ぬ、というか俺今死んだ。
「わ、わかったからよ、それよりご飯食べられそうか?」
『んーっ、むりぃ…』
無理って言われてもなぁ…
「じゃあとりあえず水だけでも飲もうな?きついんだろ?」
『んー、水なら飲める…かも』
頭をぐりぐり押し付けてくるAがあざとすぎてかわいい、もしや俺を殺しにかかっている…?!
「じゃあ水飲もうな」
『うん』
中学生ってこんな子供っぽいものだっけ?いや、可愛いからそんなのどうでもいいや(キャラ崩壊)
『んっ…みず、のんだ』
ちょっとしか飲んでねぇじゃねぇか
「もうちょっとだけ飲めねぇか?」
『むりぃ、はくぅ…』
これ以上は無理か。
「相変わらず少食を軽く超えていくよなぁ…」
『んーっ、寂雷ぃ…』
「んー、もうちょっとで寂雷さん来るからな」
ほんとAは寂雷さんが好きだよな
『んっ……』
もしかして泣いてる?!
「えーあーんー……ぎゅってしててやるから、寂雷さんいないけどちょっとだけ我慢してなぁ…」
『いちろぉ…すきぃ…』
今不覚にも理性が飛びかけた。だめだ、この子このまま野放しにしておいたら誰かに食われるぞ…。
「お、おぅ…薬飲むために何かしらを食べて欲しいんだけど、ゼリーとかなら食べられるか?」
『ちょっとだけ』
「わかった、今持ってくっから、大人しくしとけよ?」
『うん。いちろ?』
「なんだ?」
『早く戻ってきてね』
いま俺の心臓が止まった音がした。
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ゆっぴ(プロフ) - ありがとうございます!こんな作品を見つけて下さって褒めて下さって…感激です!亀以外更新ではありますが…これからも頑張りますね! (2020年11月27日 22時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっっっても!!!面白かったです!!!亀更新でも大丈夫です!続き楽しみにしています! (2020年11月27日 21時) (レス) id: 652322b724 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ(プロフ) - わざわざありがとうございます!とても嬉しいです!! (2020年11月9日 16時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
ひょぉ!(プロフ) - ゆっぴさん!コメントやリクエストありがとうございました\(//∇//)\お話読ませていただきました!とても面白かったです(^○^) (2020年11月9日 7時) (レス) id: 0b08c3a725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっぴ | 作成日時:2020年5月11日 20時