プロローグ ページ2
『……雨か、騒がしい…』
責め立てるかのように私を打ち続ける雨。
どこを見ても暗闇。闇、闇、闇。
微かに見える光さえも私を睨みつけるかのようだ。
『痛っ…』
痛むのは足と腕。
足からは血が流れ続けている。
『やばい…かもっ…』
かなり貧血気味だ。気味というよりかは、完璧に貧血なんだけど。
出血多量で死にそうだよ、まぁ無いだろうけどね。
『血小板頑張れよ…』
そんな意味の無い叱咤激励をしつつも、前に歩き続ける。
さっき出血多量で死ぬことは無いだろうと言った理由を明言しよう。それは野垂れ死ぬのが先だということだ。
「君、そこで何をしてるんだい?」
そんな声がうっすらと聞こえる。
『えっと…あの、えーっと……』
私が言い淀んでいると、話しかけてきた人は何かに気づいたかのように、強い語調で話してきた。
「っ…!酷い傷だ、私の家に来なさい、手当をしましょう」
私は殆ど前が見えていなかったし、何も聞こえていないと言っても過言ではない状況下で、どうにかうっすらと頷くことが出来た。
頼みの綱はただ1本だけだ。
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仕事を終えて家に帰ろうとしているところに、少女がいた。
ボロボロの服を見にまとい、雨が降っているのに傘もささずにふらふらと歩いている少女に、私は思わず声をかけた。
「君、そこで何をしてるんだい?」
こっちを見てくれたはいいが、かなり戸惑っているようだ。
ふと、足の方を見ると、そこには大きな傷があった。治療もされておらず、血も止まっていないようだ。
「っ…!酷い傷だ、私の家に来なさい、手当をしましょう」
私がそう言うと、少女はうっすらと頷き、そしてそのまま倒れてしまった。
「っ…」
間一髪で支えたはいいが、かなり体温も下がっていて、危険な状態なことが伺える。
「早く室内に入らないと危険だな…」
幸いにも私の家はすぐそこだけれど、病院まではかなり距離がある。とりあえずは私の家に行った方が良さそうだ。
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ゆっぴ(プロフ) - ありがとうございます!こんな作品を見つけて下さって褒めて下さって…感激です!亀以外更新ではありますが…これからも頑張りますね! (2020年11月27日 22時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっっっても!!!面白かったです!!!亀更新でも大丈夫です!続き楽しみにしています! (2020年11月27日 21時) (レス) id: 652322b724 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ(プロフ) - わざわざありがとうございます!とても嬉しいです!! (2020年11月9日 16時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
ひょぉ!(プロフ) - ゆっぴさん!コメントやリクエストありがとうございました\(//∇//)\お話読ませていただきました!とても面白かったです(^○^) (2020年11月9日 7時) (レス) id: 0b08c3a725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっぴ | 作成日時:2020年5月11日 20時