きっかけはシェアハウス２ (ページ25)

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「裕太くん……。入ってもいい？」

あの日から裕太くんと話ができていなくて、このままの状態は嫌で話がしたいと伝えると、裕太くんは部屋の扉を開けてくれた。

「あのね……裕太くん。私のこと、まだ怒ってる……？」

「えっ、怒る？」

「うん。だって私がなにか怒らせることしちゃったんだと思ったから。もしそうなら直すし謝りたいから、教えて欲しくて。」

そう口にした途端、裕太くんの顔が歪んだ。

「怒ってなんかいないよ。むしろ怒らせたのは俺の方じゃん……。ごめんね、A。あんなことして本当にごめん。」

「ううん、それはもういいの。」

「ねえ、A………俺たち別れよう。」

「え……？」

別れるって、なに？

裕太くんからの突然の別れ話に、頭が真っ白になってしまった。

「なんでそんなこと言うの？私のこと嫌いになっちゃったの？」

「んなわけないじゃんっ。」

「じゃあ………どうして……？」

「俺ね、海外に行くことに決めたの。」

「え、海外？」

「前々から事務所の人に言われてたんだよね。向こうでの仕事も増えてきてるし、日本から海外に拠点を移さないかって。」

「そう、なんだ……。」

「悩んでたんだけど、決心ついた。だからもうAとは付き合えない。ごめんね。」

表情を変えず淡々と話す裕太くんの言葉に、私はなにも返すことができなかった。

私……今、別れ話をされてるんだよね。

もう裕太くんの中では別れることは決まってるみたいな言い方で、別れようの言葉よりも悲しくて、涙が零れる。

「もうAのこと慰めてあげられないから。これからはミツに慰めて貰って。」

「え……なんで、ミツ？」

意味がわからなくて裕太くんを見上げたけれど、それに対して裕太くんが答えてくれることはなかった。

「今までありがとう……。」

「俺こそありがとう。」

お互い視線を合わせることなく、私は裕太くんの部屋を後にした。