きっかけはシェアハウス２ (ページ16)

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「ほんともう、大丈夫だから。」

「うん。」

私たちは２階に上がって部屋の前で別れた。

おやすみと言おうとしたら先に、あんがとなってぼそっと言いながらすぐに部屋へ入ってしまった。

私は言えなかったおやすみを心の中で呟いた。

◇

「おはよー。あれ、渉くん早いね。もう出掛けちゃうの？」

「おはよう、Aちゃん。今日は彼女のとこに一日行く予定でさ。だから家のこと宜しくね。」

「そうなんだ。ゆっくりしてきてね。」

「ありがとねー。」

今日明日と仕事がお休みの渉くんは朝から彼女のところへ行くらしく、既に着替えも済んでいて。

「あと、みっちゃんのことなんだけどさ。最近、仕事どう？籠りきりで、全然会えてないんだよね。」

「私も呼ばれないから、絵と文章作りに没頭してるのかなぁ？」

「そっか。じゃあ、煮詰まってるわけじゃなさそうだね。」

「うん、きっと。ミツのことも任せて！」

「ありがと、凄い助かるよ。じゃあ、行ってくるね。」

「いってらっしゃーい！」

渉くんを玄関まで見送ってからキッチンへ入る。

用意されていたスープに、自分でパンを焼いて簡単に朝食を済ませてから、マロ君の散歩へ行く準備を始めた。

今夜は裕太くんも早めに帰れるみたいで、一緒に夕食を食べに行く約束をしている。

まずはマロ君の散歩をしてそれから家のことを全て済ますと、気合いを入れて久しぶりにカフェの面接へ行って。

その帰りにひとりランチを済ませてから、のんびり家に戻ってきた。

面接へ行ったカフェはこじんまりとしたところだったけれど、落ち着いた雰囲気でとても気に入ってしまった。

もし面接が不採用だったとしても、普通にお客さんとして行きたいくらい素敵なお店で。

コーヒーや軽食の種類も豊富だったし、ショーケースの中のケーキが美味しそうだったなぁなんて思いながら階段を上がった。

部屋へ続く廊下を曲がった瞬間、ドクンッと心臓が飛び跳ねた。

「ミツ・・・」

自分の部屋の目の前でうつ伏せに倒れているミツがいて、動揺しながらも慌てて駆け寄った。