キミが残してくれたモノ (ページ48)

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アルバムからは産まれたばかりの病院の小さなベッドで眠っている写真と、パパと動物園に行った時の写真を抜き取って、あった場所に戻してクローゼットを閉めようとした時、2つの大きな段ボールに目がいった。

マジックで書かれた手書きの丸の中に実と書かれたモノ。

「実樹の実……ママの？」

気になった私は段ボールの中を覗いた。

「ママのエプロンだ……。」

そこには綺麗に畳まれたエプロンやアクセサリーなんかが詰まっていた。

きっともう一つもママのモノが仕舞われているのだと思う。

「これ、なんだろう。」

エプロンの下に隠れていた一つのファイルを手に取って開くと、たくさんの名刺が収められていた。

仕事でもらったモノかな？

その隣にあった革の手帳も開いてみると、一週間の予定が書き込めるページに、マスいっぱいに小さな字で日記のようなモノが書かれていた。

9月8日

明日は美…院でキレイにしてから家で…生日を過ごす。Aが…たらトモ君と会える。2年連続で…生日に会えるなんて、幸せ。早く会いたい。

「トモ君……2年連続……」

最後に書かれたのはママが亡くなる前日で、わかるところだけを読むと、あの日私が寝たあとにトモ君と会う約束をしていたことがわかる。

去年のお誕生日当日にお祝いできなかったのも、このトモ君と会っていたからだと知った。

ママは一年以上前からパパではない、別の男の人が好きだったんだ？

本当はあの日も私たちと誕生日を過ごすより、この男の人と過ごしたかったんだ？

ひどいっ！

パパが可哀想……

「………ママなんて、大っ嫌い！！」

出したモノを段ボールに突っ込んで元の場所に戻して、クローゼットを勢いよく閉めた。

「あれ、そこにいたの？ご飯出来たよー！」

「いらないっ。」

「えっ、Aちゃん？」

寝室から出ると夕食を作り終えたパパがキッチンから出てきたところだった。

きっと今パパの顔を見たら、泣いちゃう……。

───コンコン

「Aちゃん、入るよ？」

ノックの音が聞こえて、ベッドに座っていた私は慌てて布団に潜り込んだ。

「Aちゃん。どしたの？」

私が寝そべっているベッドの端が沈んで、すぐ傍にパパが座ったのを感じた。

「どこか具合悪い？」

「悪くない……。」

発した声が思ったより涙声で、パパに泣いているのがバレたかもしれない。