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「どしたの、Aちゃん？」
無理矢理ソファーに座らされた俺は、Aちゃんへ疑問を投げかけた。
「どうしたのって、なんのことぉ？」
「みっくんちから急いで帰りたがってたし、今もなんか変だよー？」
「変じゃないもん。早くパパにぎゅうして欲しかっただけだよ。」
「学校でなにか寂しいこととか、あった……？」
心配になってAちゃんの脇に手を差し込んで膝に乗せて抱きしめてあげると、Aちゃんも背中に手を回して俺に抱きついてきた。
「ないよ。ただAはパパがいるのが嬉しいだけだもん。学校の日はパパと少ししかいられないから、今日はずっと一緒にいたいの。」
───きゅん。
そんな甘えた声でずっと一緒にいたいのなんて言われちゃったら、一瞬たりともAちゃんの傍から離れられなくなっちゃうよ。
将来Aちゃんは小悪魔な女のコになるんじゃないの？
今から心配だなぁ。
「パパもこんな早くからAちゃんと一緒にいられて、嬉しいよ。」
学校では寂しいことはなかったかもしれないけど、いつも家で寂しい想いをいっぱいさせちゃってるよね。
ごめんね、Aちゃん。
今日はめいっぱい甘えていいよ。
「あっ、そうだ。先生がね、Aちゃんは工作がとっても上手ですって褒めてたよー？」
「うん。Aねぇ、図工が好きなの。」
「金賞も貰ったんでしょ？パパ知らなかったから、びっくりしたよ。」
「あのね、うさぎの貯金箱作ったの。机に置いてあるよ。」
「なにぃ！？そういうのはパパにも見せてよー。」
Aちゃんに連れられて部屋に入ると、机の上に牛乳パックで作られた貯金箱が飾られていた。
「あっ。これって、Aちゃんが好きなミミちゃんでしょう？」
「そうっ。ミミちゃん貯金箱なの。」
「すぐわかったよー。上手だね。」
Aちゃんが夜中に泣いたりおねしょが始まってからは寝室で一緒に寝ているからAちゃんの部屋に入って寝かしつけることもなくなり、まともに部屋を見渡すこともなかった。
こういうところが俺はだめなのかもなぁ。
「また学校で作った作品とかパパに見せてね？」
「うん。この間描いた絵はまだ廊下に飾られてるんだけど、もうすぐ返ってくるからパパに見せるね。」
「楽しみだなー。」
そんな会話をした数日後、Aちゃんは一枚の絵を持って帰ってきた。
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作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月10日 10時
