35…T ページ35
朝の約束を守る為に急いで服を着替えて、鞄とコートを掴んで駐車場までダッシュして帰ってきた。
───ピンポーン
北山さんのお宅のインターホンを押して暫くすると、勢いよく玄関の扉が開かれた。
「パパっ、おかえりなさいっ！」
「ただいま、Aちゃん。駐車場からワープして帰ってきたよー。」
「きゃははっ！」
出迎えくれたAちゃんはすぐに俺に抱きついてきた。
「玉森さん、お疲れ様。今日もAちゃんはお利口さんだったわよ。」
「あーいつも本当にありがとうございますぅ。もしよかったらみんなで食べて下さい。」
「いつもありがとう。Aちゃん、またね！」
ランドセルや作って戴いた惣菜が入った紙袋を受け取って、隣の自宅へ帰ってきた。
「あー、づがれだー！」
マンションに着いてからも猛ダッシュしたから、めちゃくちゃ疲れた。
「パパはワープして帰ってきたのに、疲れたの？なんで？」
「Aちゃんは知らないと思うけど、ワープってめっちゃ体力使うんだよねー。」
「へー……。」
うわぁ。
なんかめっちゃ冷めた目で見てくるんだけど……
怖っ。
「今日は食後のデザート、苺でもいい？」
「パパ。今日のデザートは、わたしが用意するの。」
「え、そうなの？なにかなー。」
食事が終わり、今日はAちゃんのスイーツはないから昨日買った苺でも出そうと思ってたのに、Aちゃんが用意してくれるの……？
「パパ、はいっ！ハッピーバレンタインです！」
「え、パパにくれるの？」
「今年は手作りなんだぁ！」
毎年Aちゃんからはママと買いに行ったチョコを貰っていた。
だけど今年は買いたいと強請られもしなかったから、用意されてるとは思いもしなかった。
「ありがとう。すごーく嬉しいよ。なんだろなぁ。」
「みっくんママと一緒に作ったんだよ。だから今日は早く帰ってきて欲しかったんだぁ。」
なんだー。
それで今朝はお土産はいらないって言ったのかぁ。
きっと、早く渡したかったんだね。
俺は鞄の中に入っているいくつものチョコレートの箱を、そっとパントリーへ移動させた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月10日 10時
