キミが残してくれたモノ (ページ31)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:82,523 hit

31 ページ31

「ねぇ、みっくんママ。Aね、お願いがあるの……。」

「どうしたの？Aちゃん。」

「あのねぇ……。」

この間、パパとショッピングモールへお出かけした時に、バレンタインコーナーが出来ているのを見つけた。

バレンタインの日は、女の人が男の人に“好き”を伝える日だって、もちろん私も知っている。

今年もパパとみっくんにどうしても好きを伝えたくて、みっくんママにあるお願いをしてみることにした。

「いいじゃない。きっとふたりとも喜んでくれるわね。」

「わたし、頑張って作る！」

「ふふふっ。じゃあ、おばちゃんも準備しておくからね。」

「やったー！わたし、楽しみっ。」

今までパパにはバレンタインの日に、2回チョコをあげたことがある。

どちらもママと一緒に行ったスーパーで選んで買ってもらったモノ。

パパもみっくんもとっても喜んでくれたけれど、本当はずっと手作りのチョコをあげたかったの。

ママに作りたいとお願いしたこともあるけれど、お友だちと会ってることが多いママに、忙しいから無理と言われて一度も作ったことがなかった。

今年はみっくんママにハートの手作りチョコを作りたいって話してみたら、一緒に作ってくれるって言ってくれたから、すごーく嬉しかった。

パパ、びっくりするかな？

みっくんも喜んでくれるかな？

・

バレンタイン当日、学校から下校した私はウキウキしながらみっくんの家に帰ってきた。

「Aちゃん、おかえり。待ってたよ。」

「ただいまっ。お邪魔しまーす。」

「チョコ作る準備できてるよ。」

「ありがとう！わたしね、朝から凄く楽しみにしてたのぉ。」

「ふふふっ、おばちゃんもAちゃんとチョコ作るの、とーっても楽しみにしてたのよ？」

「じゃあ、わたしたち、おんなじだね！」

そう言うと、みっくんママは優しく笑ってくれた。

リビングへ行くとテーブルにはたくさんのチョコレートと、他にもチョコを流し込む型やトッピングに使うカラフルなシュガーチョコやラッピング用の袋やリボンまで、全部揃えられていた。