キミが残してくれたモノ (ページ26)

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自分が食べたくて出したお菓子を最初に分けてくれた、Aちゃん。

「これ美味しいから、パパにもあげる。」

「ありがとう。」

・

実樹ちゃん。

あなたの娘は立派に優しく育っているから、安心していいよ……

雲一つない空を見上げて、実樹ちゃんへ届けばいいなと微笑んだ。

・

「へー、この先にふれあいコーナーがあるんだぁ。Aちゃん、行く？」

「さわれるってこと？」

「そうみたいだよー。」

「わたし、さわりたいっ。」

「んじゃ、ちょっくら行ってみますか！」

パンフレットを広げながらのんびり歩いて行くと、小さな柵の中で沢山のうさぎがピョンピョン走り回っていた。

「か、かわいい……！」

瞳をキラキラさせてるAちゃんに、抱っこできることを教えてあげた。

「パパ、わたしのお膝に乗せてっ。」

「どのコにする？」

「えっとねー……あっ、この白い小さなコがいい！」

「はいっ。優しく抱っこしてあげるんだよー。」

Aちゃんは慣れた手付きで小さなうさぎを撫でていた。

な…なんだ、これは。

可愛いと可愛いで、ハチャメチャに可愛いコンビ……

スマホを取り出して夢中でシャッターを切っていると、Aちゃんに大笑いされた。

ぐるっと全ての動物を見終わって動物園を出る前に、近くの土産屋に寄った。

Aちゃんはふれあいコーナーで抱いたうさぎにそっくりなぬいぐるみを指差すと、上目遣いで俺を見上げてきた。

「パパぁ。A、このコ欲しい。」

「ンフフっ。いいよ、一番可愛いコ選んでおいで。」

「うんっ。」

待ってる間、いつもお世話になっているお隣の北山さんちと職場にもお菓子の土産を買った。

「パパ！このコに決めた！」

「わお、めっちゃ可愛いコじゃん。」

「きゃははっ！」

「みっくんにもお土産買ったら？」

「うん、買うー。」

みっくんには、一番興奮して眺めていた赤ちゃんペンギンのマスコットが付いたキーホルダーを選んでいた。

「喜んでくれるといいね。」

「うんっ！帰ったら渡しに行く！」

「いいよー。」

帰り道は買ったばかりのうさぎちゃんを大事そうに抱えていた。