キミが残してくれたモノ (ページ19)

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「明日は早起きだから、もう寝よっかねー。」

「パパも寝る？」

「パパはまだやることがあるから寝ないけど、Aちゃんが寝付くまでは隣にいるよ？」

「じゃあ……寝るまででいいから、Aのことぎゅうして……？」

「フフフっ。いいよ、ぎゅうしてあげるから安心して寝るんだよー。」

最近知ったこと。

Aちゃんは甘える時には自分のことをAって言うんだね。

それが凄く子どもらしくて、可愛いなと思う。

その甘えも俺にぎゅうしてほしいだなんて、俺はAちゃんの安心できる存在になれてるのかなと思うと、父親としてこんな嬉しいことはない。

「おやすみなさい。」

「おやすみ、Aちゃん。世界で一番大好きだよ。」

「Aもパパのこと、一番好き……」

寝る前には必ずAちゃんへ大好きと伝えてあげるのが習慣となっていった。

Aちゃんが寝てからは、実樹ちゃんのモノを少しずつ整理しようと片付けを始めた。

キッチンに掛かってるエプロンや洗面台に置かれた化粧品なんかの目につきやすいモノを次々と段ボールに仕舞っていく。

Aちゃんにとったら無理に忘れる必要はないけれど、ママのモノを見て寂しさが増したり変に会いたくなってしまうのは避けたかった。

俺自身も、この先ふたりで生きていく為にもきちんと整理しておきたかった。

・

もうすぐふたりの日常が始まって、1ヵ月が経とうとしている。

「おっはよーん。朝だよー。Aちゃん起きてー！」

俺の生活はガラリと変わった。

平日は5時起きで洗濯をして、Aちゃんの朝ごはんを作る。

毎日作って上手になったふわふわのスクランブルエッグと、チーズハムトースト。

あとは牛乳か野菜ジュースを用意する。

よし、今日も完璧だね。

「Aちゃん、朝だよー。」

ベッドの上で丸まって寝ているAちゃんに、もう一度声を掛けて起こす。