13…T ページ13
「Aちゃん、今日はパパの寝室で一緒に寝る？それともいつも通りここで寝る？どっちがいい？」
「………いっしょが、いい。」
「ンフフ。じゃあ、一緒に寝ようねぇ。よいしょっと。」
一緒がいいだなんて、嬉しくてにやけちゃうじゃん。
Aちゃんを抱っこしながら寝室へ入って、俺も一緒にベッドへ寝転んだ。
「パパもこのままもう寝ちゃおうかなー。」
「パパ。このままAの隣、いて。」
「大丈夫だよ、いるよ。ぎゅーっ。」
「パパぁ……苦しいよぉ。」
不安気に俺を見つめるAちゃんを見ていたら胸が痛くなって、それを誤魔化すようにAちゃんをぎゅうぎゅう抱きしめると、少しだけ笑顔を見せてくれた。
「Aちゃんのこと抱き枕にして寝ちゃおっかなー。」
「もっと優しくなら、いいよ？」
「フフフっ。もう苦しくしないから抱っこして寝ようね。おやすみ、Aちゃん。」
「おやすみなさい。」
Aちゃんとは6歳の頃から一緒に暮らしているけれど、おねしょをしてしまったということは一度も記憶になく、当時から自分の部屋でひとりで眠れていて感心したのを覚えている。
だけれど、今だってまだたった9歳の小さな子ども。
きっと不安だったんだね。
そんなことにも気づいてあげれなくて、ごめんね。
「大好きだよ、Aちゃん。安心して寝ていいよ。」
Aちゃんの気持ちがわからず不安でいっぱいだったけれど、変わらず俺のことをパパと呼び、俺の傍を選んでくれたAちゃんが俺に力を与えてくれる。
小さくて愛おしいAちゃんと一緒に、精一杯生きていこうと心に誓った。
Aちゃんが寝たのを見届けてから、俺も深い眠りに落ちた。
次に意識が浮上した時、隣からまた小さな泣き声が耳に届いた。
「ん……Aちゃん？」
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作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月10日 10時
