キミが残してくれたモノ (ページ11)

今日:10 hit、昨日:12 hit、合計:82,501 hit

11…T ページ11

実樹ちゃんの2度の離婚の原因も、結婚前に本人から聞かされていて知っていた。

きっとそれは孤独を抱えて育った環境が影響しているのだと思ったし、恋愛中は一途に俺だけを愛してくれていたから、そのことに関して俺は特別問題視していなかった。

勘当されてまで彼女との結婚を選んだのは、単純に俺は実樹ちゃんを愛していたから。

そして実樹ちゃんの子ども、Aちゃんのことを愛してあげたいと思ったから……

自由奔放な母親に振り回される子どもが可哀想でならなかった。

たった4歳で2度も父親を失い、きっとそれはこの先もずっと繰り返されていくのが容易く目に浮かんだ。

俺がずっと実樹ちゃんを愛するから、子どもの最後の父親になってあげたいと思うようになっていった。

それを同情と思う人もいるかもしれないけれど、純粋に俺は愛してあげたいと思っただけだった。

・

食器洗いが終わって、静かなリビングのソファーに身を沈めた時だった。

微かに子どもの泣き声が聞こえた。

「え……Aちゃん？」

慌ててAちゃんの部屋の扉を開けると、Aちゃんは暗闇の中で身体を起こしてしくしく泣いていた。

「Aちゃん、どうした？パパいるよ。」

小さな身体をそっと抱きしめてあげると、Aちゃんは小さな小さな声で、謝罪の言葉を口にした。

「パパ……ごめんなさい。」

「ん？どしたのー？」

「あの……お漏らし、しちゃった……。ごめんなさいっ、もうしないからAのことぶたないで……！」

「なんだー。そんなことぜーんぜん大丈夫だよ？怒らないから安心していいよ？Aちゃんがどこか痛いのかと思って心配しちゃったよー。」

Aちゃんの言葉を聞いていると、過去にお漏らしをして誰かに叱られて叩かれたのかもしれない。

また俺に叩かれると思って泣いてしまったのかと思うと胸が抉られるほどの痛みを覚えた。

布団を剥いでAちゃんをそっとベッドから降ろして枕元の灯りをつけた。

「気持ち悪かったね。お着替えしようねー。」

「うん……。」

「えーっと。Aちゃん、パジャマの場所ってどこかわかる？」

「ここ……。」

Aちゃんの指差す引き出しを開けて、新しいパジャマとキャミソールの肌着と下着を取り出してAちゃんに手渡した。

「自分でできる？」

「うん。」

「偉いね。」

着替えてる間に汚れたシーツと服をとりあえず風呂場に投げ込んだ。