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「パパっ。ついにカレー作りを始めます！」
「ンフフッ。頑張って、Aちゃん。俺は隣で見守ってるよーん。」
「えっとー、野菜の皮からむけばいいのかな？」
「うん、指だけは切らないように気をつけるんだよ？」
「はーいっ。」
涙が止まらなくてパパに代わってもらった玉ねぎを切ること以外は、なんとか自分でやることができた。
「完成っ！できたー！！」
「疲れたぁ。ちょっとパパは昼寝しまーす。」
「ええ！？見てただけなのにっ！」
「ンフフッ。Aちゃんの手つきが危なくてハラハラしすぎて疲れたんだよー。ママ帰ってきたらすぐ起こしてねん。」
そう言ってパパはソファーにゴロンと寝転がって本当に眠ってしまった。
「どうしてパパはこんなにマイペースなんだろう……？」
私はクローゼットの中からブランケットを取り出して、そっとパパに掛けてあげた。
・
「ねぇ、パパ。起きて。」
「んうー……。もうママ帰ってきたのー？」
「ちがうの。ママがまだ帰ってこないの。」
「……んえ？」
約束の夕方になってもママは帰ってこなくて、なんだか私は心配になって寝ているパパを起こすことにした。
「どこか寄り道でもしてるんじゃなーい？」
「そうかな……。」
「大丈夫だよ。もしかしたらひとりのお出掛けを満喫してるのかもしれないし、もう少し待ってみよ？」
「うん。そうかもしれないっ！」
私はリビングでパパに教わりながら算数の宿題をやって待つことにした。
それから30分、1時間が経ってもママは帰って来なくて、連絡さえもなかった。
もう時刻は18時50分。
ケーキの受け取りは17時が約束なのに、まだ帰ってこないなんてやっぱりおかしい気がする。
自分の誕生日だってわかって出掛けているし、早く帰ってきてもいいはずなのに。
「んー。やっぱり心配だしちょっと連絡してみよっかねぇ。」
「うん。」
パパが携帯を弄り出した時、家の電話が鳴り響いた。
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作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月10日 10時
