前寮長はイカれたウサギでした３【ツイステ】 (ページ42)

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「A先輩っ？」

『困るよ君たち。何も知らないこの子たちをあまりいじめてあげないでほしいね』

Aがそう言えば、リーチ兄弟は素知らぬ顔をする。

「いじめるだなんて。ユウさんが困っているようでしたので」

「オレたちは親切で教えてあげてるだけだよ。ねぇ、ジェイド」

「ええフロイド。僕たち、悩みを抱える可哀想な人を放っておけないタチでして」

そう言ってリーチ兄弟は不適に笑みを浮かべる。

『なるほど。慈悲深いオクタヴィネル寮生らしいやり口じゃないか。

日陰に住んでる者達は、みんな君らのように口が上手いのかい？』

嫌味がたっぷり込められた物言いに、リーチ兄弟とAの間で静かな睨み合いが勃発する。

『ハハハ、どうやら獰猛な肉食魚を怒らせてしまったみたいだ。

私はこれで退散するとしよう。噛みつかれてはたまらない。

……ユウくん。悪いことは言わない。彼らの言葉に耳を貸してはいけないよ』

Aはユウにそう耳打ちすると、リーチ兄弟の間を通ってその場を去って行った。

「何アイツ、後で絞めていい？」

「いけませんフロイド。勝手な動きは慎むようにとアズールに言われているでしょう。

ゴホンッ……ユウさん。もし、先ほどの話に興味がおありなら、夜９時過ぎに『モストロ・ラウンジ』へおいでください。

美味しいお茶を用意してお待ちしています」

「待ってるねぇ、小エビちゃん」

そう言うとリーチ兄弟はその場を立ち去って行った。

その後、Aの忠告通りその話は保留にしようとしたユウだったが、グリムたちの必死な懇願に根負けし、夜、『モストロ・ラウンジ』へ行く事になってしまった。