２６８ ページ18
そんな話をしながら歩いていると、『Adam』の専用応接室に到着する。
広くて綺麗な部屋を見て、明星は目を輝かせている。
「しかし誰もいないな？応接室で顔合わせをする、みたいな感じじゃなかったのか？」
「そのはずだけど……」
その時、Aの着ているスーツの内ポケットに入れていたスマホがバイブ音を鳴らす。
『凪砂くん……？』
着信元は凪砂の携帯で、Aは恐る恐る通話ボタンを押す。
しかし、電話の向こう側の声は凪砂のものではなかった。
『もしもし、凪砂くん……？』
「すみません、こちら『Adam』の七種茨ですけども！
ただいま、閣下……いえ、乱凪砂さんの携帯をお借りしてお電話させていただいております！」
七種の張り上げた声は、スピーカーを使わずとも『Trickstar』の子たちの耳に届く。
『あ、はい。お疲れ様です。
どうかされましたか？』
「今、皆さんはどちらにおられますでしょうか？
出迎えのため、秀越学園の校庭にてお待ちしているのですが」
『顔合わせは『Adam』の応接室と聞いていたので、先に中に入って待っていますけど』
「そうでしたか！入れ違いになっていたのですね、申し訳ありません！
では一度、校庭まで戻っていただけますでしょうか？
ご足労おかけします！」
『え、戻るんですか？……わかりました』
そう言うとAは電話を切り、『Trickstar』の方へ向き直る。
『聞こえてた？』
「はい。来た道を戻るのは徒労感があるが、いったんみんなで校庭まで引き返そう」
「え〜？ここで待ってちゃ駄目？どうせ話はこの応接室でするんでしょ？」
駄々をこねる明星を北斗はずるずると引き摺っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年3月7日 1時
