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帰り道、住宅街をバイクをゆっくり走らせて帰るAと零。
「全く……何かあれば必ず言えと言うたじゃろう。
こんな時間まで一人でウロついて何かあったらどうするんじゃ」
『いやぁ、すぐに帰ろうと思ったんだけど、つい他のお店も気になっちゃって……』
「目が覚めてキッチンに降りてみれば、誰もいなかった時の我輩の気持ちがわかるかや?」
『えっと……ごめんね?』
後ろから謝罪の言葉を投げかければ、零は呆れながらも許してくれる。
家についてバイクから降りてヘルメットを外せば、零はどこにも行かせまいと自然な振る舞いで軽く腰を引き寄せ自宅の中へAを連れ込む。
当然、Aの買った荷物は零がキッチンまで運ぶ。
『それじゃあ出来たら呼ぶから、りっちゃんとリビングで待ってて』
「我輩も何か手伝うぞい?」
『いいよ。零ちゃんに料理させたら具材を煮込ませただけのものしか出てこないんだもん』
「食べられればそれでいいと思うて……」
『なんでそこでワイルドになっちゃうの?
……じゃあお皿の用意してくれる?』
Aがそう言うと、零は嬉しそうに「うむ!」と返事をしてご機嫌で皿の用意をし始めた。
「あ、お姉ちゃん帰ってきてたんだ〜
俺もなんか手伝うよ」
『ほんと?じゃあ具材切ってくれない?』
「なんで凛月には任せるんじゃ!?」
「兄者に任せられるわけないじゃん。
男料理しか作れない人は大人しく配膳でもしてて」
「り、凛月ぅ〜……」
零は拗ねながらも、凛月とAが料理をしている姿を微笑ましげに眺めていた。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2023年1月6日 13時