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「もう恥ずかしがらなくていいのにね。
ぼくと君との仲だしね」
日和はそう言いながらAの髪を掬い顔を近づける。
「こら日和くん。こんな駅前でスキャンダルになるようなことは慎みなさい」
「なぁに英智くん、もしかして嫉妬?
元カレの嫉妬ほど醜いものはないね!」
「まさか。君のためを思っての発言だよ、日和くん」
「うわ〜、そんなことやってるから愛想尽かされてフラれるんだろうね。
英智くんみたいな男ほど、別れた後にネチっこくつきまとってくるんだよね」
日和の煽りにも一切動じず余裕の笑みを浮かべる英智。
「何とでも言えばいいさ。僕は別れた後に元恋人の悪口を言うようなみっともない男ではないしね」
『でも根に持ってるでしょ?』
「もぉ〜君は相変わらずいけずだなぁ」
頬を軽く膨らませ子どものような顔でAをジッと見つめる英智。
それを白けた目で見るAに、日和は面白いものを見る目で二人を見つめる。
『というか、そろそろ電車の時間じゃないの?
さっきから君の相棒の子がずっとこっちを恨めしそうな目で見てるから、早く行ってあげなよ』
Aの目線の先には、『Eve』の漣ジュンが早くしろと言わんばかりに大荷物を抱えて日和を待っている。
「もうジュンくんってば、せっかちさんだねっ。
それじゃあぼくはもう行くけど、またいずれ、会えたらいいね。
次に”ぼくたち”に挑む時は、君も来る事だね。
それまでに、君の力で彼らを成長させてみるといいね。
君の実力が衰えていないことを祈って待っていてあ・げ・る♪」
そう言って日和は目配せをすると、手を振りながら帰って行った。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2023年1月6日 13時