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「学院祭」が閉会し、生徒たちがあちこちで片付けをしている姿が目に入る。
Aも手伝いのため、「執事喫茶」で使われた食器を洗いに行っていた。
「いいの〜？Aさんに片付け手伝わせちゃって」
「むしろこちらから手伝いを要求しておいて、何もさせないほうがAにとってはストレスじゃよ」
「ふぅん……。というかさ、朔間さん、なんかあった？」
大神と乙狩には聞こえない程度の声量で聞いてくる羽風に、零は参ったような顔で笑みを浮かべる。
「さすが薫くん。伊達に数多の女子と遊び歩いているだけあるのう」
「女の子と接する時に大事なのは、小さな変化も見逃さないことだからね。
まぁ男の変化なんてどうでもいいんだけど。
朔間さんの様子がおかしいのは、ちょっと珍しくて気になっちゃった」
女子と遊んでいるという零の皮肉は無視して話し続ける羽風。
「なに、あやつの笑顔に吸い寄せられ、つい身体と口が動いてしまってのう。
少し急ぎすぎてしまったのじゃ」
「……無理やりやっちゃったの？」
「何を想像しておるのか知らんが、我輩はAが許可をするまで手を出すつもりはない」
二人がそんな話をしていると、Aが洗い物を済ませ戻って来た。
『こっち終わったよ〜』
「ありがとうA、助かったぞい。
ん？水仕事をしたせいか、少し手が乾燥気味じゃのう？
どれ、我輩がハンドクリームを塗り込んでやろう♪」
『荒れてるわけじゃないし平気なのに』
零は自前のハンドクリームを手に取り、嬉々としてAの手に塗り込む。
それはもう、指先から手首まで入念に。
それを見た羽風は白い目で零を見ていた。
「手は出さないんじゃなかったっけ？」
「出したうちに入らんわ」
『なんの話？』
「なんでもないぞい♪」
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年10月2日 23時
