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『話を戻してもいい?』
「あぁもちろん。「学院祭」で執事喫茶をすることになったから、紅茶を提供してほしいって話だったよね。
もちろん構わないよ。ここにあるもので足りなければ新たに取り寄せてもいい」
英智の目の前には、様々な種類の紅茶が置かれており、零とAはひとつひとつ手に取りながら見始める。
「ずいぶんと気前が良いのう。『fine』も「学院祭」には参加するのじゃろう?
もしや敵に塩を送っておるつもりか?」
「そういうわけじゃないよ。
「学院祭」は夢ノ咲学院を盛り上げるために行われるものだ。
そこに『ユニット』単位で出し物をする決まりがあるとはいえ、勝敗にこだわっては真の目的が見失われる。それは本意じゃないからね」
「変わったな、天祥院くん」
「それは君も同じだと思うけど」
2人が話しているのを見ると、昨年のことをふと思い出す。
あれほど険悪だった仲も、今ではこんなにも穏やかに話ができていることには、感慨深いものがあった。
『(いつの間にか、こんなにも穏やかに笑えるようになってたんだね)』
「さて、用は済んだかな?
それじゃあ……僕とこれからお茶会なんてどうだい?Aさん♪」
「させると思うておるのか?」
「でも渉とはデートしたんだろう?」
「は?我輩、そんなこと聞いておらんのじゃけど」
『……すぐ険悪ムードになるの、やめてくれる?
その温度差で風邪引きそう』
その後、茶葉を受け取った後も、零は日々樹とデートしたことに関してずっとAに質問攻めし、最終的には拗ねて棺桶に引きこもってしまったという。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年10月2日 23時