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「北斗、おまえ、何で……それ、『Trickstar』の衣装だろ？
『fine』に、生徒会長の仲間になったんじゃなかったのか？」
「すまない。もう俺に、この衣装に袖を通す資格はないかもしれないが……
転校生に連絡して、衣装の保管場所を教えてもらった。
大急ぎで着替えてきたが、決断するのが遅くなってしまって……
決勝戦までに準備が終わるかどうかは、賭けだったのだが、準決勝が長引いたおかげで、どうにか間に合ったようだ」
北斗の話に混乱しているのか、明星はしどろもどろになっている。
「それが君の答えかい、北斗？」
北斗に近づき、英智は微笑みながら問いかけた。
「信頼を裏切ってしまい申し訳ない、生徒会長。
だが裏切りは、芸能界では日常茶飯事なのだろう？」
「Aと同じことを言わないでくれるかな？
でも、これは一本取られたね、とでも言うと思ったのかい。
馬鹿だね、自ら茨の道を選ぶなんて。
きっと、君は後悔する。ご両親も、さぞかし哀しむだろうね」
「両親は関係ない。
あんたは俺の両親に手を回し、俺を縛り上げようとした。
あんたは芸能界の重鎮たる天祥院財閥の御曹司だ。俺の両親も、意のままだっただろう。
俺は正直、たったそれだけで身動きがとれなくなった。これまで、両親に逆らったことはなかったからな。
けれど、友を裏切ることで両親に認められて、褒められても嬉しくはない。
ずっと欲しかったものを、俺はこの夢ノ咲学院ですでに手に入れていたのに、俺はそれを、危うく手放すところだったんだ」
北斗はそう言いながら、『Trickstar』のメンバーの顔を一人一人見つめた。
それは当然、観客席にいるあんずにも目線は送られた。
「俺はこの場に、『Trickstar』として立ちたい。
好きなように、させてもらう」
これが決勝戦直前にして、ようやく空中分解していた『Trickstar』が再結成された瞬間だった。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月14日 1時
