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『お待たせ、英智くん。もう始まってる？』
「いいや、まだつむぎしか集まっていなくてね。
全く、レッスンの時間まであと五分ほどあるとはいえ、一体あの２人はどこにいるのやら」
「俺、２人を探してきますね。もしかしたら、レッスンのことを忘れているかもしれないので」
そう言って青葉がレッスン室を出ようとする。
『あ、待って！私も探すよ』
「いいんですか？助かります〜」
『英智くんはここで待っててね』
「あぁ、頼んだよ２人とも」
Aと青葉は英智をレッスン室に残していった。
「すみません、折角レッスンに付き合ってもらえるのに……」
『ううん、初めてのユニットで慣れないことも多いと思うし。
でもまさか、英智くんがユニットを結成するなんて思わなかったな。
でも、青葉くんがついてるなら、心配はいらないよね』
「買いかぶりすぎですよ。俺はただ、英智くんが友達だからお手伝いしたいと思っただけなんです」
屈託のない笑みを浮かべてそう言う青葉に、Aも釣られて笑みがこぼれる。
しかし、すぐにその笑みは憂いを帯びたものに変わる。
『……五奇人を倒す、か』
「？」
『英智くんが私に協力を求めてきた時、正直、少し怖くて……
夢ノ咲学院の現状を変えたいっていう志は立派だと思う。
でも、それに勝手に巻き込まれた五奇人の皆は、どうなってしまうんだろうなって考えちゃって……』
不安そうな顔をしているAに、青葉は安心させなくてはという一心で口を開く。
「大丈夫ですよ。英智くんなら、きっと皆がハッピーエンドを迎えられるように考えてくれるはずです。
Aさんが気を揉む必要はないんですよ」
『つむぎくん……そう、だね。
彼女の私が英智くんを信じてあげずにどうするんだって感じだよね。
ごめんねっ、こんな話しちゃって。
さっ、早く日和くんと凪砂くんを探さないとね。私、うさぎ小屋の方見てくるね！』
笑ってそう言うAだったが、その笑みは以前よりも苦しそうだったと、後に青葉は思った。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月1日 21時
