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軽音部の部室では、『Trickstar』というユニットに所属する男子生徒たちが零の前で何時間も踊らされていた。

午後の授業をまるまるサボったせいで、外は夕陽が照りつける時間帯となっていた。







「朔間先輩、どうだった?

俺たちは、あなたのお眼鏡にかなっただろうか?」







何時間も踊り、歌い続けたせいか、足をガクガクと震わせながら零に問いかける。







「くくく。そう焦るな、急いては事をし損じるぞ。

若いのう、未熟じゃのう、青臭くってたまらんのう……♪」

「未熟、か。たしかにそのとおりだ、実力不足は承知している。

朔間先輩、どうも顔色も優れないようだな。俺たちは、不合格か?

あなたを楽しませることはできなかったのか……?」







不安げな眼差しで零を見つめる『Trickstar』のリーダー、氷鷹北斗。

分厚い氷の仮面の下に熱い想いを抱える男だ。


そんな北斗の心配も杞憂で、零は笑ってみせた。







「くくく、だから焦るなというに。

不合格などとんでもない、天晴れ天晴れ♪いやぁ、これは思わぬ拾いものじゃのう!

合格が不合格かでいえば、文句なく合格じゃよ。


のう、Aもそう思わんかったかえ?」


『……なんでいるってわかったのよ。一度も扉を開けてないのに』







部室の扉が開き、Aがその場に戻って来た。







「おぬしの気配なら、どこにいても察知することができるんじゃよ……♪」

『なんかキモいから察知しないで』

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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月1日 21時

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