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その夜。星奏館に今日から移住してきた藍良は、夜中に寝付けず外の空気を吸うために散歩をしていた。
「(お〜。でっかいお月様が出てる。綺麗だなァ♪
ちょびっとだけ、得した気分。まぁ、睡眠時間は損してるけど)」
星空をボーッと眺めていると、後ろから誰かに声を掛けられる。
「___月夜の散歩か。風流やね」
「……!?えっ?」
驚く藍良を見て、話しかけた少年は申し訳なさそうに少し笑ってみせた。
「あぁ、堪忍な。つい声に出してしもたわ。話しかけるつもりはなかったんやけど」
藍良は目の前の少年が誰かわからず困惑している。
「あ、う……えっと?
(誰?綺麗な顔と髪の色___こんな子、いたっけ?
う〜ん、おれES所属の有名どころのアイドルは全員ちゃんと覚えてるつもりだったけど?
おれたちを同じまだ無名の新人かなァ。素人ではないよね___たぶん?
何か、曰く形容しがたい『雰囲気』があるし?)」
京都弁のような訛り方言の強いしゃべり方をする桃色髪の少年。
幼くもどこか大人びた風貌をしている少年は、藍良の顔を見て首をかしげた。
「?何やねん、じっと見て……。べつに怪しいもんとちゃうよ。
わしは今日からこの星奏館で暮らすことになった____桜河こはくっちもんや」
「こはく、っち?」
「うん、よろしゅうに。ぬしはんのお名前は?」
「あっ、白鳥藍良です」
「白鳥はん。良ぇね、綺麗なお名前で」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2021年12月13日 21時