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『その『ユニット』がどうかしましたか?』
「実は……私、天祥院先輩からの指示で、彼らと接触できないの。
だから、1年の中でも優秀なAちゃんが、彼らを支えてくれないかな〜って思ったんだけど……
どうかな?Aちゃんはまだ経験が浅いけど、それを思わせない仕事っぷりは『P機関』の先生たちもすごく評価してるの。
引き受けてくれたら嬉しいんだけど……」
お人好しなあんずは、プロデューサーとして『ALKALOID』を放っておけないとでも言いたげな顔をする。
自分が直接手を出せないかわりに、彼らを上手に導いてくれる人に手伝ってもらおうという魂胆だろう。
上司とも言える天祥院からの指示の穴をかいくぐり、必死に考えた結果だった。
『……あんず先輩がアイドルたちから『女神』だ、『敏腕プロデューサー』だと言われる理由が、少しわかった気がします。
新人の落ちこぼれ相手にも手を差し伸べる優しさ……さすがですね』
「そんな。買いかぶりすぎだよ」
謙遜する姿も様になるほど、あんずは困ったような顔で優しげな笑みを浮かべる。
『……いいですよ。見習いのプロデューサーとして、できる限りのことはしてみます』
「本当に?ありがとう!」
あんずはそう言うと、Aに必要な情報を伝えて自分の仕事に戻って行った。
『……良い人だなぁ、あんず先輩は。
私はただ、早く昇格したいだけなのに』
「___……あれ?私、彼らのこと、Aちゃんに『落ちこぼれの』なんて言ったっけ?」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2021年12月13日 21時