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『ES』は、アイドルの理想郷と呼ばれているが、その実態は、少しずつ根元から腐食している。
『ES』に所属すれば、憧れのアイドルに簡単になれる。
そう思い、誰もがこの『ES』に足を踏み入れた。
しかし、箱を開けてみればそこに入っていたのは、見るに堪えない泥団子ばかり。
ゆえに、『ES』は最近になって、小規模なアイドルの人員整理を始めた。
藍良たちも、そのリストラの対象者らしい。
だが藍良たちは、スタプロの代表とも言える天祥院英智から、とある提案をされた。
『____「八月の末日に行われる『MDM』で結果を残し、己の有用性を示せ」……。
なんか、大変そうですね』
窮地に立たされている藍良たちを見て、他人事のようにそう言うA。
「『劣等生』なんてレッテル貼られてさぁ〜……
お先真っ暗って感じだよ……」
『でも希望は潰えたわけではないんですよね?
なら、精一杯頑張ってください。私に出来る事はないと思いますけど』
「ウム!ありがとう!えーっと……A、でいいのかな?
その励ましの言葉だけでも有難いよ!」
赤髪の青年が勢いでAの手を握りながらAの目をジッと見つめた。
「ちょっと!何いきなり手握ってるの!?それセクハラだから!」
「セクハラ?セクハラとはなんだい?」
「セクシュアル・ハラスメント。学校や職場などで性的嫌がらせを受けることを示す言葉ですな」
「なるほど……すまない!全くそんなつもりはなかったんだ。
許してもらえると嬉しいよ」
『いえ、気にしてませんので。
えっと……名前を聞いても?』
Aは藍良以外の2人に問いかけた。
「俺は風早巽と申します」
「僕は、天城一彩だ!よろしく頼むよ!
そして友達になろう!」
『天城……?』
一彩の名前を知ったAは、驚いた顔で一彩を見つめていた。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2021年12月13日 21時