８ ページ8
その後、Aはフードの男と城下町から離れた森の中に来ていた。
『何の用なの？いきなり現れるなんて、王としての自覚はおありで？』
嫌味ったらしくそう言えば、男はフードを取った。
『……やっぱり。バレバレなのよ、マレウス』
フードの下は、マレウス本人だった。
マレウスはAをジッと見下ろすと、小さく微笑んだ。
「久しいな。帰ってきたと知っていたなら僕に会いに来てくれてもよかったものを」
『私だって暇じゃないの。
何の用事もないのに、会いに行けるわけないでしょ。
……それに、城の者たちは私を良い目で見ないでしょ』
「だろうな」
マレウスの言葉に少しムッとしたAは、近くの切り株に腰掛けた。
『用事がないならさっさと城に帰りなさいよ。
護衛もつけないで外出なんて、今頃城中が騒ぎになってるわよ』
「意地を張るな。僕に会いたがっていただろう」
マレウスが突然そんなことを言いだしてAは驚く。
『は？誰がいつそんなこと言った？』
「会いたくないのなら、先ほどの男と共に行けばよかったものを、お前は態々僕と知った上でついてきた。
つまり、そういうことではないのか？」
余裕な笑みを浮かべてそう言うマレウスにAは無性に腹が立っていた。
『えぇそうですね。陛下のお元気な姿を見られて私はとても満足ですわ。
では、私のような平民はとっととお暇させて頂きますわ。
では陛下。ご機嫌よう』
「！」
Aはスカートの裾を持ち上げ優雅にお辞儀して見せると、クルッと背を向けて立ち去って行く。
「待て。僕に背を向ける気か」
『嫌ですわ陛下。あまり私を困らせないでくださいませ』
Aはそう言うとマレウスの制止を受け流し去って行った。
その場に残されたマレウスの頭上には、小規模な雷雲が生まれていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1279人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
寝子／猫 - ズビッズビッ､､､ぜ、全然泣いてないけどズビッズビッ、どことなく共感してしまう過去の回想シーンズビッ こ、更新まってますズビッ (10月7日 0時) (
レス) @page50 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - もう泣いてしまっていますよ、これは本当に良すぎます(´；ω；`) (7月21日 13時) (レス) @page41 id: 249aa4a194 (このIDを非表示/違反報告)
ララリン - 面白いです！続きが気になります！ (7月15日 19時) (レス) id: 6fc5591da7 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 更新、ありがとうございます！！すごく楽しみにしていました！！面白かったです！ (7月10日 23時) (レス) id: 481fd4ed05 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - めちゃ続きみたい!! (2023年3月20日 22時) (レス) @page48 id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もぶピ
| 作成日時：2021年4月28日 13時
