69…T ページ20
「ねぇ、パパっ。明日の夜はお好み焼き屋さん行くって、忘れないでよ？」
「忘れるわけないでしょ。大丈夫よーん。」
「パパって、意外と抜けてるからなぁ。」
「フフフっ。失礼だなーもう。」
遂に明日はAちゃんの卒業式。
本当なら卒業式に参加したいけれど、イベント事や記念日前後はホテル内のレストランのシェフやパティシエにとって一番の繁忙期でどうしても休みを取ることができなかった。
「そういえば卒業祝いは何がいいか決まった？高すぎるのはだめだけど。」
「決めておくね。おやすみ、パパ。」
「はーい、おやすみー。」
どうでもいいテレビが点いたリビングでひとり晩酌しながら、Aちゃんと過ごした日々を思い返していた。
初めて逢ったのは、俺が20の時。
「は、初めまして……」
恥ずかしそうに彼女の後ろに隠れる、小さなAちゃんを今でも鮮明に覚えている。
人見知りで恥ずかしがり屋のAちゃんに、同じく人見知りな俺は必死に話しかけていた記憶がある。
そうだ、最初の頃は“裕太くん”て呼ばれてたんだ！
「うわぁ……懐かしいかも。」
突然パパって呼ばれた時は、めちゃくちゃ嬉しかったなー。
今みたいに自分の部屋へ寝に行く時に、“おやすみ、パパ”って。
感動して、たしかちょっと泣いた気がする。
Aちゃんとふたりになった時は不安だったけど、パパ、パパ……って、俺を求めてくれてほっとしたっけ。
年頃になると女のコだと男親には言えないことも色々出てきて、その度に心配になって、よく北山さんに相談したのを覚えてる。
中学高校になっても反抗期はなく、手が掛かった記憶がないくらい素直でいいコだったAちゃん。
きっとそれは俺を想ってくれていたからなのかな……？
んー、俺の自惚れかな。
17歳になる直前の告白には心底びっくりしたけれど、何年もずっと想っててくれていたなんて、本当に幸せなことだと思う。
そして、明日で高校卒業か。
Aちゃんと過ごした12年。
長かったようで、あっという間だった気がする。
だけども思い出はちゃんと12年分ぎっしりある。
これから始まる大学生活はどんな4年間になっていくのかな。
一緒にいられるのもあと数年だと思うし、父親として出来る限りのことをしてあげたい。
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にかみつば(プロフ) - ゆいさん» 初めまして。読んで下さりありがとうございます！この作者の作品を全表示を見るとでてきます。あとはR18指定なので年齢が引っかかってる場合もあるのかもしれません。 (2021年1月4日 18時) (
レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 初めまして！にかみつばさんの作品が大好きでよく読んでいます！続編を見たいのですがどこを見ても出てこないです！どうすれば見れますか？ (2021年1月4日 17時) (レス) id: f23e39d144 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 初めまして！にかみつばさんの作品が大好きでよく読んでいます！続編を見たいのですがどこを見ても出てこないです！どうすれば見れますか？ (2021年1月4日 17時) (レス) id: f23e39d144 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - かなこさん» はじめまして！コメントありがとうございます☆癒しだったなんて、嬉しすぎます！いつも読んでくださってありがとうございました！ (2020年11月14日 23時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - はじめまして。毎日この作品を見るのがわたしの癒しになってました！パパな裕太くん最高でした！幼い頃の話、楽しみにしてます。 (2020年11月14日 23時) (レス) id: ea3b09b98d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月16日 22時
