54…T ページ5
「たっだいまー！パパが帰って来ましたよーん。」
深夜0時30分。
とことん飲んだ結果、酒に強い俺は程よいくらいに酔いがまわり、多幸感に包まれながら廊下をふらふら歩きだした。
「おーい、Aちゃーん。お出迎えしてくれないのー？」
今が何時なのかも把握できていない俺は、Aちゃんの部屋の扉をノックもせずに開けた。
「あれー？いないじゃん。」
ふたり暮らしになってからは俺の寝室で一緒に寝ていたけれど、Aちゃんが中学生になるとお年頃のせいか、また以前のように自分の部屋で寝るようになっていった。
リビングに入って荷物を置いてから寝室の扉を開けると、Aちゃんが布団に包まりながら眠っていた。
「あ……フフフっ。Aちゃん見つけたー。」
横にゴロンと寝転がって、大人の女のコに成長したAちゃんをそっと見つめた。
こうやって俺が飲んで遅い時間帯に帰宅すると、大抵Aちゃんは昔のように俺の寝室で眠っていたりする。
無意識なのかなんなのかはわからないけれど、心配になってしまうのだと思う。
きっと寂しくて、温もりを求めに俺のベッドへ来るのだろうか。
いくつになってもあの時の不安は消えることなく、今もAちゃんの心に深く残されたままなんだと感じる。
だけど昔のように素直に寂しいと口にすることも、ぎゅうしてと俺に甘えることもできない年齢になってしまった。
こうして時々俺のベッドで寝ているAちゃんを見ると愛しさがこみ上げて、めいっぱい抱きしめて、とことん甘やかしてあげたくなってくる。
だけどそれができないから……
Aちゃんの明るく染まった髪を、優しく撫でた。
「大きくなったね、Aちゃん……。」
出会った頃はママに隠れてしまうくらい小さかったのに、今では俺の肩ぐらいまで背も伸びて、大きな怪我や病気もすることなくスクスクとここまで育ってくれた。
なんでだろう。
アルコールのせいかな？
感傷的になって、涙が零れそうになってきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にかみつば(プロフ) - ゆいさん» 初めまして。読んで下さりありがとうございます！この作者の作品を全表示を見るとでてきます。あとはR18指定なので年齢が引っかかってる場合もあるのかもしれません。 (2021年1月4日 18時) (
レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 初めまして！にかみつばさんの作品が大好きでよく読んでいます！続編を見たいのですがどこを見ても出てこないです！どうすれば見れますか？ (2021年1月4日 17時) (レス) id: f23e39d144 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 初めまして！にかみつばさんの作品が大好きでよく読んでいます！続編を見たいのですがどこを見ても出てこないです！どうすれば見れますか？ (2021年1月4日 17時) (レス) id: f23e39d144 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - かなこさん» はじめまして！コメントありがとうございます☆癒しだったなんて、嬉しすぎます！いつも読んでくださってありがとうございました！ (2020年11月14日 23時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - はじめまして。毎日この作品を見るのがわたしの癒しになってました！パパな裕太くん最高でした！幼い頃の話、楽しみにしてます。 (2020年11月14日 23時) (レス) id: ea3b09b98d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月16日 22時
