episode 2 ページ3
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「Aちゃんにとって、女優とはどんな職業?」
『う〜ん…、もはや当たり前になっちゃいましたね(笑)本職はモデルでしたが、今ではどっちも捨てられないほど演技の世界にのめり込んじゃってます。』
にこにこと、営業を悟らせない営業スマイルでインタビューに受け答える先輩。
俺としてはこんな下らない取材さっさと終わらせたいけど、先輩と食事する口実を作ってくれたのだけは感謝しなきゃ。
「じゃあ瀬名くんは?」
「……そうですね、永遠に勉強する、ですかね。芸能界に入って何年もたちますが、演技において勉強をやめることはありません。」
全部建前だけど。
先輩の眉がぴくっと動いたあたり、多分嘘だと思ってるんだろう。嘘だよ。
それからだらだらと対して意味の無い質問を繰り返し、取材が終わったのは一時間後だった。
「ありえない。質問の内容が下らなすぎる。」
『あはは、途中から営業スマイル崩れてたよ。』
「それは先輩もです。」
私のは作り笑顔じゃない、と言い張る先輩。へえ、ゴミくず彼氏の影響はこんなとこまで来てるのか。
「作り笑顔が通常営業になっちゃいましたか?先輩、可哀想ですね。主に恋愛方面で。」
『……図星です。』
おとなしく白状する先輩。そこからは、自然な流れで俺に相談してくる。
『最近彼によく言われるの。女優もモデルもやめろってね。芸能人と一般人の恋なんて無理かな?ましてや、シンデレラストーリーじゃない。立場的には私が王子役になっちゃうし。』
「それ、面白いですね。先輩が王子様。」
『ごめんね〜、王子は君の専売特許だもんね、シニカル王子?』
どこまでも皮肉ってくる先輩。学生時代は俺もよく後輩に皮肉を言っていたけど、多分半分はこの人のせいだ。
「先輩は馬鹿ですよ。こんなの考えるまでもなく答えは出てるじゃないですか。」
むかつくから、模範解答のような答えを返してやる。先輩なんて、もっと困ればいい。悩むだけ悩んで、結局よくわからないまま別れて、恋なんてもうしたくないって思えばいい。
「芸能界にいたいなら彼氏と別れて、彼氏といたいなら芸能界をやめればいい。」
そう、これが模範解答。結局、これ以外に方法は無いんだから。
最善が最高とは限らないって、どこかで聞いたことがあるけど、まさにそれだと思う。
『……何か、今日の瀬名くんはらしくないね。』
そう苦笑いする先輩。
「勘違いしないでくださいよ。」
俺はいつでもこんな感じ。
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アザレアを持ったねこ(プロフ) - 面白いですね!私もKnights好きです!箱推しじゃないんですけど…でもみんな好きです!良ければお友達に…|´-`)チラッ (2018年1月20日 4時) (レス) id: b01fa5b414 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御苑 | 作成日時:2018年1月18日 20時