青春とは(哲学) ページ4
ぴーんぽーんという音が聞こえてインターホンのモニターを見ると、やはりそこには唇を突き出してむくれるころんが立っていた。母から「仲良いわねー」という心外なコメントを頂きながら、スクールバッグを抱えて外に出る。
「おはよ、A」
「おはよ」
「……なんか元気ない? 大丈夫?」
「平常運転」
返ってくる答えは同じだとわかっているはずなのに、毎度毎度同じことを訊いてくる心配症な幼なじみにそう返すと、ふーんと気のない返事が返ってきた。
「そういえばもうすぐ体育祭だねー」
「そうだね」
「え、それだけ?」
少年のような冒険心に満ちた瞳が、私を意外そうに見つめる。
「体育祭だよ? うちの高校の一大イベントだよ?」
「あんなのただ走って応援して無駄にカップル成立するだけの行事じゃん」
「辛辣!」
まあ確かにそうだけどさあ、ところんが眉を寄せて考える。その間に、私は新入部員が何人入ってくるかという予測計算をしていた。今年はスポーツ推薦で入学してきた一年が多いらしいから、例年よりは多く入ると仮定すると……十二、三人?
「Aさー、なんの感慨もなく学生時代終わらせちゃっていいわけ?」
突然聞こえたその声に、すぐに反応を返せなかった。
「え……心読んだの?」
「あらかた予想はできるよ。新入部員の計算でもしてたんでしょ」
「……あたり」
24人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紬 | 作成日時:2020年8月3日 13時